成人を対象とした歯科疾患予防管理による喪失歯抑制効果

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本研究の目的は,成人を対象として構築した歯科疾患予防管理システムの有効性に関して喪失歯の抑制効果を中心に評価を行うことである。対象は,10年以上継続して歯科疾患予防管理を受けた663名(男性291名,女性372名:平均年齢37.6歳)である。本研究では対照群が設定されていないことから,分析に先立ち,初診時の喪失歯数の年次推移を把握したうえで,予防管理システムに初めて参加した初診時の状態を比較対照データとして,初診時と最終リコール時の両時点における1人平均喪失歯数を30歳代〜50歳代の同一年齢群で比較した。その結果,いずれの年齢群においても最終リコール時における喪失歯のほうが少なく,40歳代と50歳代では統計学的に有意な減少が確認された。対象者全体のリコール期間中の1人平均年間喪失歯数は0.076であり,他の調査報告と比較しても比較的高い成果が得られていた。初診時と最終リコール時における歯および歯周組織の状況について,対象者個人の経年的な変化をみると,最終リコール時における数値のほうが有意に減少していた。また,リコール期間中に喪失歯が認められなかった者のほうが,リコール期間中の未処置歯が少なく,歯周組織の状況も有意に良好であることが確認された。以上の結果より,一般の診療所においても導入可能な本予防管理システムは,喪失歯の抑制に貢献できることが示唆された。
有限責任中間法人日本口腔衛生学会の論文
1998-01-30

成人を対象とした歯科疾患予防管理による喪失歯抑制効果

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