カリエスリスクを基準とした齲蝕予防プログラム

概要

論文の詳細を見る
現在,小児歯科における齲蝕予防法として,歯科衛生士による刷掃指導,間食指導の改善を目的とした保健指導,フッ素塗布並びに予防填塞が行われている。最近では口腔管理の一つの方法として,カリエスリスクテストが提唱され,齲蝕活動性の評価や患者の動機づけに応用されている。そこで演者らは,当科の保健指導をさらに進んだシステムにするために,カリエスリスクテストを導入し,今まで以上にきめ細かな口腔管理を行なう齲蝕予防プログラムを作成し報告した。今回作成した齲蝕予防プログラムでは,保健指導を行なう資料として,まず,酸産生能を評価するカリオスタッドによる齲蝕活動試験を行ない,齲蝕予防プログラムの方向づけを行なった。カリオスタットの検査結果によって,ハイリスクと判定された患児に対しては,さらに齲蝕活動性因子の解明のために第2段階の齲蝕活動性試験として,S.mutansの評価法にデントカルト(R)SMを,また唾液緩衝能の検査としてデントバフ(R)ストリップを用いた。これらの検査結果を基に保健指導や齲蝕予防処置の検討を行ない,齲蝕予防プログラムを立案した。これまでは,ブラッシング指導と一般的な保健指導を保護者の問診等を参考に行なってきたが,保護者のなかにはあまり興味を示さず,ただ話しを聞いているだけの場合もあった。しかし,カリオスタッドを中心としたカリエスリスクテストを導入することにより,これまで以上に,保護者に対する強い動機づけが可能となった。指導者側にとっても個人における齲蝕の原因及び口腔内の状態を把握することが可能となり,個人にあった保健指導を行なえるようになった。このように本予防プログラムは,患児及び保護者にも検査結果を視覚に訴えることができるため,動機づけも行いやすく,なにより興味を持って保健指導を受けているように感じられ,デンタルIQの向上にも効果があるように思われた。
福岡歯科大学学会の論文
2001-12-30

カリエスリスクを基準とした齲蝕予防プログラム

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク