A431遊走シグナル伝達におけるプロテインフォスファターゼ2AB55βの機能の検討

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[目的]食道扁平上皮癌細胞株A431細胞の遊走にはEGFおよびコラーゲンからの刺激により、MAPキナーゼがリン酸化されることが必要であると報告されている。また、この遊走に必要なMAPキナーゼの適度な活性の調節には、各種フォスファターゼが関わっていると考えられる。今回、PP2Aの調節ドメインのアイソフォームの一つであるB55βの発現をA431にアンチセンス発現ベクターに組み込み、A431に遺伝導入することで、PP2Aの遊走における役割を検討した。[方法]A431細胞、HSC-3細胞、Calu-1細胞、VMRC細胞からRNAを抽出、RT-PCR法を用いて発現しているPP2Aのアイソフォームの種類をスクリーニングした。その中で全ての癌細胞に発現が見られたPP2AB55βを選び、A431にトランスフェクションした。PP2AB55βは免疫沈降法で抽出し、そのフォスファターゼ活性を基質pNPPを用いて測定した。細胞遊走アッセイにはトランスウェルを用いた。[結果と考察]ジェネティシンで遺伝子導入細胞を選択、アンチセンスとmockのstableな発現細胞をクローニングした。アンチセンス導入細胞にEGFを投与して、PP2AB55βの活性を測定したところ、コントロールの細胞より低下していた。次にコラーゲン上で遊走アッセイを行ったところ、アンチセンス導入細胞はコントロールの細胞に比べてEGFを加えない場合は遊走能が亢進していたが、EGFの下では遊走能の増加率(=EGF 投与後の遊走能/EGF 未投与の遊走能)が低かった。以上の結果より、PP2AB55βは遊走に関する細胞内シグナル伝達を調節していることがわかった。
日本結合組織学会の論文

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