重症片麻痺上肢2例に対する早期治療的電気刺激 : シングルケース法による検討
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概要
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本研究の目的は,発症後早期の脳卒中後重症片麻痺上肢2例に対する治療的電気刺激(以下,TES)の運動麻痺回復に与える影響を,シングルケース法により検討することであった。発症時より麻痺側上肢の運動麻痺が完全麻痺を示し,発症後1ヶ月経過時点でも明らかな運動麻痺の回復を認めなかった重症片麻痺上肢2例を対象とした。TESは発症後1ヶ月より開始し,1日30分,週5回のペースで2ヶ月間実施した。TESには表面電極を用い,麻痺側上肢の刺激筋は指伸筋群,手関節背屈筋群,上腕三頭筋,三角筋前・中・後部線維とした。麻痺側上肢の運動麻痺の評価にはScandinavian Stroke Scale(以下,SSS)の上肢関連スコア,上肢関連日常生活活動の評価にはBarthel Index(以下,BI)の食事及び整容動作スコアを用いた。発症時よりSSSとBIを毎週1回測定してグラフ上にプロットし,TES開始以前のデータ(以下,ベースライン)とTES開始以後のデータの変化を目視法により比較検討した。SSSでは,TES開始後1週目に改善が認められたが,それ以後は改善が認められず,また改善の程度もベースラインと大差なかった。一方,BIでは,ベースラインより段階的な改善が認められ,TESとBIの改善との間に直接的な関係は認められなかった。結論として,本研究からは,発症後早期の重症片麻庫上肢例に対するTESの運動麻痺回復に与える十分な影響は示されなかった。
- 社団法人日本理学療法士協会の論文
- 2002-04-20
著者
-
吉田 英樹
弘前大学大学院 保健学研究科保健学専攻健康支援科学領域障害保健学分野
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松崎 隆幸
函館赤十字病院脳神経外科
-
吉田 英樹
函館赤十字病院 リハビリテーション科
-
吉田 秀樹
函館赤十字病院 リハビリテーション科
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