片麻痺例での非麻痺側先行前方アプローチによる階段を降りる動作 : 3症例による検討
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概要
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筆者らは,麻痺側下肢を降ろす際に同下肢が内転してしまうために,従来法では階段を降りることのできなかった片麻痺例に対して,前向きで非麻痺側下肢を先に降ろし,麻痺側下肢を揃えることで階段を降りる方法(以下,非麻痺側先行前方アプローチ)を試みた。対象は,入院片麻痺例3例(脳内出血慢性期例2例,脳腫瘍例1例)であり,非麻痺側先行前方アプローチの練習開始時点での機能的状態としては,全例で麻痺側下肢の中等度の運動麻痺(Brunnstrom StageIII)と表在感覚及び深部感覚の軽度から中等度の鈍麻を認め,階段を降りる動作と入浴動作を除く全ての日常生活動作(以下,ADL)が自立していた。非麻痺側先行前方アプローチの練習開始後l週間以内に全例で,手すりを用いた非麻痺側先行前方アプローチが自立した。また,非麻痺側先行前方アプローチに起因すると考えられる副作用(麻痺側下肢の関節痛,痙縮増悪等)や転倒事故の発生は,練習開始から退院後の外来でのPT実施期間(約2年間)を含めて皆無であった。以上の結果は,非麻痺側先行前方アプローチが,従来法では階段を降りることのできない片麻痺例のADL改善のための一手段となり得る可能性を示唆していると考えられる。
- 2002-12-20
著者
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吉田 英樹
弘前大学大学院 保健学研究科保健学専攻健康支援科学領域障害保健学分野
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松崎 隆幸
函館赤十字病院脳神経外科
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吉田 英樹
函館赤十字病院 リハビリテーション科
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吉田 秀樹
函館赤十字病院 リハビリテーション科
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