糖尿病患者における低強度運動療法の体脂肪減量効果に関する検討
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概要
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糖尿病患者の運動療法における運動強度は, 中等度が一般的であるが, 我々は教育し易さ, 安全性の確立という観点から, 低強度運動療法(50% Anaerobic Threshold:50% AT)を試みている。本研究の目的は, インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)患者が低強度運動療法を継続することにより, インスリン抵抗性の改善につながる体脂肪減量効果が認められるかどうかを検討することである。対象は, NIDDM患者7名である。運動療法開始時に自転車エルゴメーターによる運動負荷テストを施行し, AT値を検出した後, AT負荷値の50%の負荷値を算出した。そして, 50%AT強度運動の定常状態の心拍数を求め, この値を運動処方における強度指標とした。被験者7名の50%ATにおける心拍数は97.9±11.6bpmであった。運動療法は, 歩行あるいは自転車エルゴメータを選択し, 50%AT強度で1回につき30分, 1日2回, 週に5日の頻度で実施し, 4ヵ月間継続させた。検査は4ヵ月間の運動療法前後において, 二重X線呼吸法(dual energy X-ray absorptiometry:DEXA法)により体脂肪率(%Fat), 除脂肪体重を測定し, 合わせて空腹時血糖値, ヘモグロビンA_<1C>(HbA_<1C>), 血清脂質について測定した。その結果, 全身および上肢, 下肢, 体幹の部位別%Fatは, 運動療法前後を比較して全て有意に低下し, 除脂肪体重は有意な変化を認めなかった。空腹時血糖値, HbA_<1C>血清遊離脂肪酸は有意に低下し, HDLコレステロールは有意な上昇を認めた。このことは, インスリン抵抗性が解除されることにより, 血糖コントロールが改善していることを示唆するものであると考えられる。低強度運動療法はNIDDM患者において, 除脂肪体重を保持し, 体脂肪を減量させる効果があることが判明し, インスリン抵抗性の改善に対してきわめて有効性が高いことが確認された。
- 社団法人日本理学療法士協会の論文
- 1999-09-30
著者
-
井垣 誠
公立日高病院
-
木村 朗
社会医学技術学院
-
井垣 誠
公立豊岡病院日高医療センターリハビリテーション技術科
-
謝 紹東
公立豊岡病院日高医療センター内科
-
謝 紹東
公立日高病院内科
-
佐野 憲康
公立日高病院リハビリテーション技術科
-
木村 朗
専門学校社会医学技術学院理学療法学科
-
神田 満
公立日高病院リハビリテーション科
-
西澤 晴美
公立日高病院リハビリテーション科
-
西澤 晴美
公立日高病院リハビリテーション科:公立豊岡病院リハビリテーション科
-
神田 満
公立日高病院リハビリテーション科:公立豊岡病院リハビリテーション科
-
佐野 憲康
公立日高病院
-
木村 朗
専門学校社会医学技術学院
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