等角速度運動が相反性脊髄反射回路に及ぼす影響の研究

概要

論文の詳細を見る
本研究は, 理学療法の運動療法が中枢神経系にどのように影響するかを脊髄反射回路で起きる相反性抑制を通して, 定量的に評価・測定するものである。方法は, 平均年齢22歳のスポーツ経験のない健常成人10名を対象に, 角速度60 deg/sec と120 deg/secの2群に分け, 等速性運動装置(サイベックス6000)を用いて10回10セット, セットごとの休息時間30秒の足関節底背屈運動を1日1回, 9週間施行した。相反性抑制の測定は, 3週毎に刺激時間1 msec の条件刺激を総腓骨神経に加えたヒラメ筋H反射によって行った。等速性運動による筋出力は, H反射振幅測定時に合わせて角速度30 deg/sec ごとに120 deg/sec までのピークトルク値で測定した。相反性抑制の判定は, 条件刺激なし時のH反射振幅(Control H)を基準として, 条件一試験刺激間隔0, 1, 2, 3msの条件刺激を加えたときのH反射振幅(conditioned H)をControl Hで除した比率を抑制の指標とした。Control Hに対するConditioned Hの振幅比率が1.0以下であれば, 条件刺激としての総腓骨神経刺激によってH反射に抑制が出現したものとし, 振幅比率が1.0以上であれば, H反射の抑制は生じないものと解釈した。H反射の振幅比率を指標にした両群の相反性抑制は, 条件一試験刺激間隔2と3msで運動開始前に比較して6週後より低下し, 9週後では両群において3msで6週後とほぼ同一の抑制比率であった。一方, 両群の筋出力は, 9週間を通して等速性運動のピークトルク値に変化がみられず, 筋力の改善は認められなかった。加えて, 条件一試験刺激間隔ごとにおける両群問で相反性抑制に明らかな差がみられなかった。以上のことより, 運動の期間や頻度などが同じであることから, 運動速度の違いが影響する可能性が少なく, むしろ運動回数が相反性抑制を規定する可能性を否定できないものと考えられた。
2003-10-20

等角速度運動が相反性脊髄反射回路に及ぼす影響の研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク