冠状動脈バイパス手術におけるmethylprednisoloneの全身性炎症反応症候群抑制効果
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Methylprednisolone(MP)の抗炎症作用に注目し,人工心肺を使用する冠状動脈バイパス(CABG)手術における全身性炎症反応症候群(SIRS)抑制効果について検討した.対象は待機的CABG手術を行った33例で,人工心肺開始前にMPを30mg/kg静注した11症例をHD-MP群(high-dose MP群),MPを5mg/kg静注した11症例をLD-MP群(low-dose MP群),MPを使用しなかった11症例をN-MP群(non-MP群)とし,3群間の比較.検討を行った.術後のSIRS継続日数はHD-MP群とLD-MP群はN-MP群に比べて同程度に短く,低用量のMPでもSIRS短縮効果のあることが示された.インターロイキン6,同8(IL-6/IL-8)はHD-MP群とLD-MP群はN-MP群に比べて同程度に低値であり,低用量のMPでも十分なインターロイキン産生抑制効果をもつことが示された.ただし,心機能障害の指標としてのカテコラミン使用の総量,肺機能障害の指標としての挿管日数,肝機能障害の指標としてのGPT/D-Bil値異常の有無,腎機能障害の指標としてのBUN/Cr値の異常などに関しては3群間で有意差を認めず,MPの各種臓器保護作用は明らかでなかった.術後白血球数の最高値は,HD-MP群がN-MP群より高値を示した.人工心肺を使用するCABG手術において,低用量(5mg/kg)のMPの使用は,感染の危険性を増加させることなく,SIRS期間とIL-6,IL-8の産生を抑制することが可能であった.
- 2003-03-15
著者
関連論文
- 肺静脈の伸展刺激が冠状動脈バイパス術後の心房細動発生に及ぼす影響の検討
- 偽腔閉塞型逆行性III型解離手術に有用であった左前側方開胸・胸骨下部部分切開法
- 勤労者医療における脳・心の発症に関する臨床的研究
- 脳・心疾患に共通した危険因子 - 動脈硬化の関連性について -
- Anatomic ventriculoaortic junction縫合による大動脈基部再建を行った6例の検討
- 上肢動脈塞栓症13肢の治療経験
- 特発性血小板減少性紫斑病を合併した狭心症に対し,動脈グラフトのみを使用して冠状動脈バイパス術を行った1症例
- リードインピーダンスが正常値を示したリード断線の1例
- 急性心筋梗塞に心室中隔穿孔と右室自由壁破裂を合併した2例
- 脳障害高リスク群に対する体温自然低下体外循環の経験
- 冠状動脈バイパス手術におけるmethylprednisoloneの全身性炎症反応症候群抑制効果
- 左房粘液腫摘出術後に腫瘍性脳動脈瘤と脳出血をきたした1例
- 臨床と研究 CABG後の上室性不整脈と自律神経の関連性
- 冠状動脈バイパス手術における右胃大網動脈の有用性の検討-動脈グラフトのみを用いた症例群における右内胸動脈との比較-
- anatomic ventriculoaortic junction縫合を行った大動脈基部再建の2例
- VCS clipを用いた大腿→大腿動脈バイパス術の1手術例
- 慢性心房細動および虚血性心疾患を合併した心房中隔欠損症に対する同時手術の1例
- タリウム心筋シンチグラムによる右胃大網動脈グラフトの評価
- 三次元CT血管造影法における人工血管の描出像の相違に関する検討
- 末梢動脈バイパス術後の三次元CT血管造影法の有用性の検討
- 急性心筋梗塞に対する動脈グラフトによる冠状動脈バイパス手術の検討
- 三次元CT血管造影法による閉塞性動脈硬化症の術前術後評価
- DeBakey IIIb型大動脈解離を合併した遠位弓部真性大動脈瘤の1治験例
- 腹部大動脈瘤と進行胃癌の併発症例に対する一期的手術の経験
- 両心房切開法による巨大左房粘液腫の治療経験
- 甲状腺機能低下症を合併した虚血性心疾患に対する動脈グラフトのみを使用した冠状動脈バイパス術の2治験例