矯正力付与後最大痛み発現時における低出力レーザーの痛み緩和効果について : 体性感覚誘発電位による電気生理学的評価
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概要
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本研究の目的は矯正歯科治療における低出力レーザーの痛み緩和効果を体性感覚誘発電位(somatosensory evoked potential : SEP)により評価することである.研究対象は矯正歯科治療未経験の成人男子7名である.被検者に刺激電極,探査電極,基準電極および接地電極を設置し,1回目のSEPを記録した.記録後,下顎両側第一小臼歯に矯正力を付与し,約24時間後に2回目のSEPを記録した.次に,片側の下顎第一小臼歯にレーザーを照射して照射群とし,対側はレーザーを照射せずにコントロール群とした.この直後,3回目のSEPを記録した.記録された各SEPの頂点潜時と頂点間振幅を計測し,さらに記録間の頂点潜時差と頂点間振幅変化を算出して,これらの比較検討を行った.その結果,頂点潜時は矯正力やレーザー照射による遅延ないし短縮を示さなかった.高次中枢機能を抑制する鎮静剤投与下では頂点潜時の延長を示すといわれていることから,矯正力やレーザー照射は高次中枢機能に直接影響を及ぼさず,末梢に影響を及ぼすことが推察された.一方,頂点間振幅は,矯正力付与後,潜時300msec付近で増大傾向を示し,レーザー照射後,潜時150msec付近および潜時300msec付近で有意な減少を示した.潜時300msec付近の振幅は主観的痛みを反映するといわれているので,矯正力付与およびレーザー照射による潜時300msec付近の振幅の増減は,矯正力付与により痛みが生じ,レーザー照射により痛みが緩和することを示していると考えられた.また,潜時150msec付近の振幅は主観的痛みだけでなく刺激強度にも影響を受けるといわれていることから,レーザー照射による痛み緩和の神経生理学的作用機序は末梢での興奮性低下および興奮伝導の抑制であることが推察された.
著者
-
山口 秀晴
東京歯科大学歯科矯正学講座
-
原崎 守弘
東京歯科大学歯科矯正学講座
-
山口 秀晴
東京歯科大学
-
原崎 守弘
東京歯科大学矯正学講座
-
福井 健之
東京歯科大学歯科矯正学講座
-
福井 健之
亀田クリニック歯科センター
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