牛の眼虫症に関する研究 : III. 日本における Thelazia rhodesi (DESMAREST,1827)RAILLIET et HENRY,1910 について
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概要
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昭和37年10月22日,茨城県下東京大学農学部附属牧場の繋養牛に集団発生した眼虫症について,生理食塩液の加圧洗眼により13頭を検査した.その結果,8頭から66隻の虫体が採集された.これらの眼虫は,形態学的な細密検査によって,虫体各部の計測値を比較検討した結果,Thelaziarhodesiであると同定した.そこで著者らは,日本の牛におけるThclazia属線虫の分布を調査するため,全国から牛が集まる芝浦屠場において,屠殺牛96頭について眼球の精密検査をした.さらに八丈島で飼育中の牛68頭,大島114頭,三宅島41頭,および新冠種畜牧場5頭の合計228頭についても,臨床検査を行ない.眼虫の寄生状況を調査した.その結果,従米T.rhodesiの発生が報告された地域以外に,岩手・栃木・茨城・千葉の諸県,および東京都下大島にも,本症が広く発生している事実を,追認した.眼虫症の臨床所見については,流行地の感染牛に,夏から初秋にかけて,羞明・流涙・結膜炎の症状が観察されたが,角膜炎や失明に至るほどの重症所見は認められなかった.また眼虫感染に対する年令差は認められず,感染率は放牧牛に高く,舎飼牛に低かった.本症の診断には,角膜表面に歳動ずる成虫を機械的に摘出する方法が,一般に応用される.しかし生理食塩液の加圧洗眼によって,瞬膜下・結膜嚢内に寄生する虫体を流出させる方法が,よ]り安全かつ確実である.さらに,上記の眼球洗浄液から,成虫のほかに,仔虫または幼若虫を遠沈しで,顕微鏡下に検出することが有効である.
- 1967-02-25
著者
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