カズノコグサとスズメノテッポウにおける中胚軸の伸長特性とジニトロアニリン系除草剤に対する反応の差異
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概要
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近年九州地域の水田裏作表圃で増加しているカズノコグサについて、ジニトロアニリン系土壌処理除草剤に対する反応のスズメノテッポウとの差異を、中胚軸の伸長特性から解析した。暗所で伸長した中胚軸長の平均値はカズノコグサで8mm、スズメノテッポウで32mmであり、この差は両種の苗条の全長の差に相当した。幼植物の発生深度と中胚軸長の分布から、発生深度15mm程度以上ではスズメノテッポウの中胚軸は深度につれて伸長したのに対し、カズノコグサの中胚軸は10mm程度でほぼ1定であり、深い位置にあるカズノコグサ種子の中胚軸はスズメノテッポウに比べて伸長しにくい。カズノコグサの成長点深度は、11〜15mmを最大に25mmまでの深さに分布し、スズメノテッポウでは約50%が5mmまでの浅い位置に分布した。ジニトロアニリン系のトリフルラリン粒剤(2.5%)のa当たり4509およびペンディメタリン細粒剤(2%)のa当たり600g処理により、5〜30mmの範囲で播種深度の増大につれて残存個体数比率が高く、同じ播種深度ではカズノコグサの残存個体数比率がスズメノテッポウより高かった。播種深度に代えて成長点深度を用いて残存個体数比率との関係を双曲線回帰式で表わすと、この種間差は消去された。これら除草剤に対する、播種深度での反応の種間差は中胚軸の伸長特性に起因する成長点深度の違いによると考えられた。
- 日本雑草学会の論文
- 1994-10-28
著者
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