難草および作物の葉の生理的機能およびクロロフィル含有率におよぼす人工酸性雨の影響
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概要
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オオイヌタデ等4種の雑草, ソバ等4種の作物およびホワイトクローバ等2種の牧草の合計10種の植物にpH2.5 から3.5の人工酸性雨を2週間にわたり6回ないし8回散布し, 葉の光合成速度, 呼吸速度, 気孔コンダクタンスおよびクロロフィル含有率におよぼす影響を調査した。10種の植物は人工酸性雨のpHと光合成速度の変化との関係から3群に分けられた。すなわち, pH3.0 で光合成速度が対照区に比べて有意に低下したハツカダイコンとインゲンマメ, pH2.5で有意に低下したハルジオンとホワイトクローバ, そしてpH2.5でもほとんど低下しなかったオオイヌタデ, シロザ, メヒシバ, ソバ, イネおよびトールフェスクの3群である。葉の呼吸速度はほとんどの種で対照区に比べ増加した。気孔コンダクタンスはオオイヌタデ, シロザ, メヒシバ, イネの4種について測定したが, 人工酸性雨の散布によってあまり大きくは変化しなかった。葉のクロロフィルaおよびbの含有率は人工酸性雨のpHが低下するにつれて, 低下する傾向を示す種が多く, 特にpH2.5の人工酸性雨を散布した場合にはメヒシバおよびトールフェスクを除く各種で10%以上低下した。クロロフィルaの含有率の相対値, つまりそれぞれの種における対照区のクロロフィル含有率に対する人工酸性雨散布区の同含有率の比と光合成速度の相対値との間には一次式で回帰できる関係が見られた。
- 日本雑草学会の論文
- 1997-01-31
著者
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