農耕地におけるスズメノカタビラの形態および繁殖体投資率と繁殖体生産における変異

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二つの異なる地点の水田, 畑地および路傍に由来するスズメノカタビラ(Poa annua L.)計6集団について, それぞれの生育地への適応戦略を明らかにするために, 形態および繁殖体へのエネルギー投資様式における集団変異を調査した。個体あたりの種子数と繁殖体投資率(RA)あるいはその種子数と全乾物車との相関において, 集団間に大きな変異が認められた(第2表, 第3図)。ある地点の水田, 畑地, 路傍由来の全集団では, 種子数とRAに正の相関が認められた。もう一方の地点の水田, 畑地由来集団では, 個体あたり種子数は繁殖体投資率あるいは全乾物重のどちらにも有意な相関を示さなかったが, これらに隣接する路傍由来集団では, 個体あたり種子数は繁殖体投資率と全乾物重の両方に正の相関を示した。水田由来集団は出穂が遅く, かつ主稈葉数が大きくなった(第1表)。この集団の個体は大きな植物体から大きくかつ重い種子を生産し, 繁殖体投資率(RA)は低くなる傾向を示した(第1, 2, 4図)。それとは対照的に, 畑地由来の集団は出穂が早く, 主稈葉数も少なかった。この集団の個体は植物体重が小さく, 小さな軽い種子を生産し, その結果RA値は高くなる傾向を示した。路傍由来集団は水田および畑地由来集団の中間的な特徴を示した。畑池田来集団の繁殖特性は, 畑地の作物生産に付随する不規則な耕起に適応的であると推察された。一方, 水田由来集団は水田裏作における作物あるいは雑草との競合に適応的であると考察された。
日本雑草学会の論文
1996-02-09

農耕地におけるスズメノカタビラの形態および繁殖体投資率と繁殖体生産における変異

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