シロイヌナズナの生長と分化におよぼすレピジモイドの影響
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概要
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クレス(Lepidium sativum L.)発芽種子の粘質物から抽出したレピジモイド(Fig. 1)をシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana L.)の8系統の野生型 (WS, Columbia, Landsberg (erecta) Enkheim, C24, Cl-0, Zu-0, Can-0)に供試し, いくつかの生長指標に対する効果を調べた。WS系統ではレピジモイドは胚軸長(Fig. 3), 植物体の大きさ(成熟時の草丈, 生重量および乾燥重量)(Fig. 2, Fig.5)を増加させた。また, 花芽形成までの期間を短縮した(Fig. 4)。花芽形成時までに展開するロゼット葉数は対照と同じであることから, レピジモイドはロゼット葉の展開を早めることにより花芽形成を促進することが分った(Table 1)。レピジモイドに対する反応の度合は供試した系統によって大きな相違が見られた(Table 1, Fig. 6)。すなわち, 胚軸伸長は系統EnkheimとCan-0で最も大きな効果が現れた。ロゼット葉の発達は系統Enkheim, C24, Can-0で促進が見られた。葉面積は系統WSとEnkheimで増大した。花芽形成は系統C24とCl-0で最も促進された。しかし, 系統Zu-0とCan-0はレジモイド添加によって植物体は著しく大型化し, ロゼット葉数も増加したが, 少なくとも75日間の栽培期間中は, レピジモイドの有無に関係なく花芽を形成しなかった。分子生物学, 生理学分野の研究に多用されている系統の中ではWSおよびColumbiaはレピジモイドに反応したが, Landsberg(erecta)はほとんど反応しなかった(Table 1)。
- 日本雑草学会の論文
- 1995-08-31
著者
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