Chondroitinase ABCを用いた髓核融解療法の投与後早期の効果の検討

概要

論文の詳細を見る
髄核融解療法に効果が期待されているChondroitinase ABC (C-ABC) の効果をmagnetic resonance (MR) およびX線像により検討した. 臨床上健康なビーグル犬 (n=5) の腰椎椎間板にC-ABCを50μL (C-ABCとして12.5単位) 投与した. MR撮像は, 撮像日を投与前, 投与1, 3, 7, 14および28日後とし, 髄核の信号強度 (SI) を測定した. X線撮影は, 撮影日を投与前, 投与1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 14および28日後とし, 椎間の狭小化はheight index (HI) により評価した. また, 投与28日後に, 髄核のコンドロイチン硫酸 (CS) およびヒアルロン酸 (HA) 含有量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した. C-ABCを投与した椎間のSIおよびHIは経時的に低下し, 投与28日後には投与前値に対して, それぞれ37.1%および78.9%となった. C-ABC投与群のSIおよびHIは, コントロール群と比較して投与1日後から危険率1%未満で有意差が認められた. また, 投与28日後の髄核のCSおよびHA含有量は, 有意に減少していた (p<0.01). C-ABCは, 投与1日後から, 髄核の変化および髄核内圧の低下を認めたことから, 髄核融解療法において投与後早期から効果を示すことが期待される.
社団法人日本獣医学会の論文
2001-05-25