ウマ真菌性喉嚢炎に対するマイクロコイルを用いた内頚動脈栓塞術の有用性
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概要
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9頭の健康なサラブレッド種成馬を供試馬とし, マイクロコイルによる内頚動脈栓塞術の真菌性喉嚢炎に対する有用性を実験的に評価した. すなわち, 左側内頚動脈の起始部を結紮後, この部位に隣接した遠位部において動脈を切開し, その遠位約13cm部にマイクロコイルを挿入して栓塞した. 血流の停止は, 動脈切開部からの逆流血液の消失, および血管造影法により確認した. 栓塞術を施した6頭は, 術後の神経障害などに起因する異常所見の有無を観察し, このうち1頭は, 術後30日目に安楽死処置として病理学的検索を実施した. 他の3頭は, 反対側の内頚動脈に電磁血流計プローブを装着し, 栓塞前後における血流量の変化を観察した. 内頚動脈の栓塞は, 1または2本のマイクロコイルの留置により可能であり, 血流はコイルの挿入直後から数分以内に停止した. 術後の異常所見は観察されなかった. また栓塞30日後の病理学的検索により, 結紮部から栓塞部に至る血栓の形成が確認された. 一方, 栓塞後の反対側内頚動脈の血流量は, 約28〜58%増加した. さらに, 2頭の症例馬に対して本栓塞術を応用したところ, 良好な成績が得られた. これらのことから, 本栓塞術の真菌性喉嚢炎に対する臨床的有用性は, 極めて高いことが示唆された.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1999-03-25
著者
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水野 豊香
日本中央競馬会美浦トレーニング・センター競走馬診療所
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水野 豊香
日本中央競馬会美浦トレーニングセンター
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水野 豊香
日本中央競馬会競走馬総合研究所
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松田 芳和
日本中央競馬会栗東トレーニングセンター競走馬診療所
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中西 有
日本中央競馬会美浦トレーニングセンター競走馬診療所
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水野 豊香
日本中央競馬会美浦トレーニングセンター競走馬診療所
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