サラブレッドにおけるセファロチンの肺胞腔内への移行性
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概要
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本研究では, ウマにおけるセファロチンナトリウムの肺胞腔内への移行性を検討するとともに, アンプロキソールの前投与がセファロチンナトリウムの気管支肺胞腔への移行性に影響するか否かを検討した. 実験は, 生理的食塩水(saline), アンプロキソール (ambroxol)およびセファロチンナトリウム(cephalothin)の投与方法により4グループに分類した. つまり, グループA: ambroxol経口投与後120分にcephalothinを静脈内投与, グループB: saline経口投与後120分にcephalothinを静脈内投与, グループC, グループD: コントロール群. なお, ambroxol, cephalothinの投与量は, 臨床用量とした. 血漿中cephalothin濃度は, グループA, Bともにcephalothin投与後5分においてピーク値を示し, その後経時的に低下した. cephalothinの血漿中濃度の動態解析(T_<1/2> Kel, Vd) は, グループ間に有意な差は認めなかった. 一方, 気管支肺胞洗浄液(BALF)中cephalothin濃度は, グループA, Bともにcephalothin投与後180分においてピーク値を示し, 300分においても比較的高値を維持した. これらのことは, cephalothinが血中から肺胞腔へ移行するには, 比較的時間を要するものの, 移行後は長時間肺胞腔内に維持されることを示している. また, BALF中のcephalothin濃度は, グループA, Bともに同程度であったが, この値をBALF中の総蛋白質量で補正したところ, グループAはグループBの約1.5倍の高値を示した. このことは, ambroxolの経口投与により, cephalothinの肺胞腔内への移行性が高まったことを示している.
- 1999-03-25
著者
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帆保 誠二
日本中央競馬会競走馬総合研究所
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帆保 誠二
日本中央競馬会競走馬総合研究所栃木支所微生物研究室
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松田 芳和
日本中央競馬会栗東トレーニングセンター競走馬診療所
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内藤 裕司
日本中央競馬会栗東トレーニングセンター競走馬診療所
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帆保 誠二
日本中央競馬会 競走馬総合研
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帆保 誠二
日本中央競馬会 栗東トレーニングセンター
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