遺伝性高脂血症(WHHL)ウサギの圧反射系による血圧調節の障害
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概要
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遺伝性高脂血症(WHHL)ウサギにおいて, 意識下での圧反射系による血圧調節能を調べた. 圧反射の指標には圧反射系全体の開ループゲイン(G)を用いた. 7匹のWHHLウサギおよび14匹の正常な日本白色種ウサギについて, 麻酔下で左鎖骨下動脈および左総頸動脈より2本のカテーテルを大動脈弓にまで挿入し, 慢性的に留置した. 数日後, 意識下で体重1kg当り2mlの血液を左総頸動脈より急速に注射器に抜き取った. このときの平均血圧(MAP)の応答は, 左鎖骨下動脈よりトランスデューサを介して記録し, さらにコンピュータで8回平均加算した. Gの値はG=ΔAP_I/ΔAP_s-1より計算した. 但し, ΔAP_Iは出血直後のMAP下降分, ΔAP_sは出血1-2分後にみられる定常偏差である. 意識下での正常およびWHHLウサギのGは, それぞれ7.35±0.24, 1.91±0.29(mean±SE)であり, WHHLウサギの方が有意に低い値を示した(p<0.01). 次に, ペントバルビタール麻酔の圧反射系への影響を調べるために20mg/kg量で再びウサギを麻酔し, 意識下と同様の出血実験を数回おこなった. 麻酔下における正常およびWHHLウサギでのGの値は, それぞれ6.69±0.23, 1.68±0.34(mean±SE)であり, WHHLウサギの方が有意に小さかった(p<0.01). また, いずれのウサギにおいても意識下と麻酔下ではGの値には有意差は認められなかった(p>0.05). 上記の結果より, 圧反射系による血圧調節能の減退は, 粥状硬化の圧受容器領域への進展によるものと考えた. また, ペントバルビタール麻酔は, 圧反射系全体の血圧調節能には影響がないものと解釈した.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1992-10-15
著者
-
塩見 雅志
神戸大学大学院医学研究科附属動物実験施設
-
塩見 雅志
神戸大学医学部附属動物実験施設
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塩見 雅志
神戸大学医学部付属動物実験施設
-
塩見 雅志
神戸大学医学部動物実験施設
-
細見 弘
香川医科大学第2病理
-
勝田 新一郎
日本ハム(株)中央研究所
-
細見 弘
香川医科大学生理学講座第2生理学
-
細見 弘
香川医大第二生理
-
渡辺 嘉雄
神戸大学医学部附属動物実験施設
-
細見 弘
香川医科大学 生理
-
細見 弘
香川医科大学生理学講座第二生理学
-
細見 弘
香川医科大学
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