軟弱地盤の地震観測と解析

概要

論文の詳細を見る
軟弱地盤上の構造物に対して, 地盤・構造物の連成系によって動的解析を行なう場合には, 表層地盤の振動特性をは握することおよび入力地震波の性質を明確にすることが必要である。地震観測によってこれらの問題を究明するために, 筆者らは昭和48年2月から東京・豊州において地震観測を継続しており, 本報では観測期間中に得られた約20の地震記録のまとめとシミュレーション結果について報告した。まず観測地震波を震源深さと震央距離との比によって3つに分類して, それぞれのタイプにおける観測波形の周期特性に類似性のあることを示し, さらに震源位置, マグニチュード, および最大加速度の関係について示した。また, 豊州と日比谷における伊豆半島沖地震の観測結果から, 両観測点の表層地盤の振動性状の差を明らかにした。シミュレーション解析は, 観測地盤を多層の成層地盤として, S波の重複反射の理論を用い, さらに地盤の内部減衰を考慮して行なった。計算結果の加速度波形は観測波形とよい一致を示し, 地震の主要動に対してはこの方法で現象をよく説明できる。
1976-12-15