鋼構造はり端部のひずみ履歴と疲労強度に関する実験的研究 : その 1 定変位制御実験

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H形鋼からなる鋼構造はり端部が, 繰り返し弾塑性曲げを受ける場合に, その局所のひずみ挙動と低サイクル疲労特性を明らかにするための基礎的な研究として, SS41, 圧延H-200×100×5.5×8はり部材から成る片持ばり型試験体を用いた定変位制御繰り返し実験を行った。本研究で得られた主な結果は, 1)はり端フランジ部のひずみは, 溶接熱履歴により大きな影響を受けるけれども, 繰り返し載荷に伴って, その履歴形状は安定し収束する傾向にあった。また, フランジ幅方向のひずみは, 履歴の安定する2サイクル目以降で, 中央部と両縁部で特に大きな差は見られなかった。はり端部のひずみ挙動のこのような特徴から, はり先端(自由端)の変位制御実験は, はり端(固定端)フランジのひずみ制御実験に対応することがわかる。2) 1)で述べたはり端フランジのひずみ挙動に着目して, 疲労強度実験式を求めることができる。本研究でははり端フランジ部のひずみの平均値に基づいて, Manson-Coffin流の指数近似式を導いた。はり端部の応力集中などの影響により, 本試験体の疲労強度は, 鋼素材の疲労強度と比較して大幅に低下することが示され, その疲労強度低下率は, 約1/4〜1/5程度となることがわかった。なお, 素材レベルの疲労実験結果との厳密な比較は, はり端フランジのスカーラップ止端部におけるひずみ集中を明確に把握して論ずるべきであるが, 本論ではこの点に関する資料を整備することができなかった。基礎模型実験と実構造物または実構造物を反映したモデルによる疲労実験の関連性と, 鋼構造物の疲労強度を予測するための基礎模型実験結果の適用性に関する研究としては, たとえば文献8), 9)などがあるが, 未だ基本段階であり, 今後この方面の研究が必要であるものと思われる。
1983-03-30

鋼構造はり端部のひずみ履歴と疲労強度に関する実験的研究 : その 1 定変位制御実験

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