落葉広葉樹林林床へのシバ(Zoysia japonica Steud.)の定着に及ぼす立木による庇蔭の影響
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概要
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落葉広葉樹林を間伐して3段階(30.44,63本/10a)の立木密度を設定し, 林床に導入したシバの定着と生育の経過を3年間にわたり調査した。シバの活着率は, 立木密度が高く, 庇蔭程度が大きい処理区ほど高い傾向が認められ, 立木により植付け後の土壌の乾燥が抑えられたためであると推察された。シバの出現した区画の割合から求めた広がり度および被度は, いずれの処理区も初年目に低く推移した後, 植付け2年目および3年目に立木密度の低い処理区ほど高まる傾向がみられ,立木密度30本/10a区では3年目の10月には, それぞれの値は75%および58%に達した。植付け3年目の10月のシバの生育量も立木密度が低い処理区ほど多かった。伐採年(シバ植付け年)の立木の推定葉面積指数(ELAI)は,処理区間の値の差は少ないが立木密度が高い処理区ほど高い傾向がみられた。また, いずれの処理区も経年的に立木による庇蔭の度合いが増加する傾向がみられたが, 立木密度の低い処理区ほどELAIの値が小さい傾向が維持されていた。さらに, 伐採2年目に調査した相対光量子束密度(RPFD)はシバの生育が良好であった立木密度30本/10a区では立木の展葉が完了したと考えられる7月でも80%以上を維持し, 他の処理区より光がよく当たる明るい状態であった。林床のリターは試験開始時に700g/m^2前後存在し, 2年後の10月にはいずれの処理区も10分の1以下に減少したが, いずれの時期においても処理区間の差は小さかった。以上のことから, 供試した立木密度の範囲ではシバの活着率は立木による庇蔭によって低下しないが, その後の生育は立木密度が低いほど良好であり, 樹高9m程度の広葉樹林では立木密度30本/10aであれば, シバにとっての光環境は良好に保て, 比較的容易に林床をシバ植生に転換することが可能であると考えられた。
- 2000-07-31
著者
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山本 直之
カルピス株式会社健康・機能性食品開発研究所
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山本 直之
和歌山県立医科大学第二外科
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山本 直之
(現)中央農業総合研究センター
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山本 直之
中国農業試験場:(現)農業研究センター
-
大谷 一郎
中国農業試験場畜産部
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大谷 一郎
(現)近畿中国四国農業研究センター
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圓通 茂喜
中国農業試験場
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