ディーゼル車排出粒子による人肺癌リスク試算<予測>

概要

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ディーゼル車排出粒子の人肺癌リスク推算には,これまで動物実験データからの外挿が用いられてきた。今回,一般大気環境レベルのディーゼル粒子の肺癌リスク評価を人疫学データからのユニット・リスク値を用いて,日本の環境測定データに当て嵌めて行った。ユニットリスク値には最近カリフォルニアEPAで計算されたものを,環境濃度には環境庁の全国一般測定局SPM値から都道府県別年平均値(SPMav)を計算して用いた。まずSPM値に対する元素状炭素濃度の関係を回帰式(R)で求め,元素状炭素中の自動車(ガソリン車とディーゼル車)由来の率(C%),自動車由来粒子中のDEPの率(D%),および室外・室内のSPM濃度比と一日室内生活時間比から計算した一日平均個人暴露濃度のSPMに対する比率(I%)を計算した。SPMav×R×C%×D%×I%を都道府県別に計算し,それにユニットリスク値を掛けたものを合計して,全国でのリスク値とした。その値を2つの平均寿命とリスク値の幅とを考慮して計算した。その結果ディーゼル粒子による日本の年間リスクは,平均寿命を75歳と仮定したとき,年間5,277(1,143〜21,109)人,これは1996年全国肺癌死亡数の11.5(2.5〜46.2)%に相当した。肺癌死亡のおおよそ70%に喫煙が関連するとされているが,今回の計算ではディーゼル粒子は現在の暴露水準が続く場合には,やがて肺癌全体の一割強を占めるに至ると思われた。
社団法人大気環境学会の論文
2000-07-10

ディーゼル車排出粒子による人肺癌リスク試算<予測>

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