二, 三の殺虫剤のゴキブリに対する実地散布効果について
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概要
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アパートにおけるゴキブリの駆除を行つた.福岡地方のアパートにおけるゴキブリの主要種はクロゴキブリPeriplaneta fuliginosa Serville, で他の種類は発見することができなかつた. dieldrin 5%乳剤およびdieldrin 4%+lindane 6%混合乳剤の10倍および20倍希釈液, 40cc/m^2で散布場所は台所に限定した.下面残留噴霧方式によりクロゴキブリ駆除効果は十分に認められ, 季節的消長を考慮した5月および9月の年2回の残留噴霧により完全に近いまでの抑制を示した.本地方のアパートにおいては, 階数別分布(縦の分布)およびブロック別分布(横の分布)に特長が認められる.すなわち縦の分布においては成虫, 幼虫共に最上階の4階に多く, 1階がこれに次ぎ多く, 横の分布は中央部になるに従い多く分布している.クロゴキブリの消長は8月および9月が最盛期であることがうかがえる.食べものを取扱う飲食店においてはチヤバネゴキブリBlattella germanica L.がもつとも多く, クロゴキブリ, ワモンゴキブリPeriplaneta americana L.がこれに次き, 棲息数はチャバネゴキブリに比べると非常に少い.採集したチヤバネゴキブリを飼育し, 微量滴下法により(LD)_<50>を求めた結果, lindaneに対してはわずかに強く, dieldrinに対しては感受性であり実際駆除について効果のあることがうかがわれる.有機燐剤に対しても感受性系統とほぼ同程度であつた.飲食店のチャバネゴキブリの駆除は複雑な家屋構造からしてアパートにおける散布量よりおおよそ2.5倍量のdieldrin, dieldrin+lindane混合乳剤を用うれば効果的で, DDVPの煙霧による効果は認められず, diazinon乳剤の下面残留噴霧による効果はやや不十分のようであつた.安定で残効性の長いdieldrin剤に, より確実な駆除効果のあることを認めた.これらのことによりゴキブリの駆除にはdieldrin乳剤あるいはdieldrin+lindane混合乳剤のように残効性の大きい有機塩素剤をその棲息場所に近い部屋に下面残留噴霧することがもつとも効果的であり標準的の方法と考える.
- 1961-10-15
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