殺そ剤に関する研究 II : 急性毒剤のドブネズミによる摂食性および効力について
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概要
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1)4種の急性毒性殺そ剤ノルボルマイド, シリロシド, 燐化亜鉛および硫酸タリウム含有毒餌のドブネズミによる摂食性, 忌避性および致死効力を検討した.2)ノルボルマイドは乾燥固型毒餌として用いた場合, その摂食性はドブネズミを死亡させるには1%濃度ではきわめて不十分であつた.固型毒餌におけるノルボルマイドによる摂食忌避性は0.25%ではわずかであつたが0.5%以上において強くみとめられた.1%含有生サツマイモ毒餌の摂食性は乾燥固型毒餌に比較して良好ですぐれた殺そ効果を示した.ノルボルマイドの致死作用は速効的であつたが, 致死薬量については変動がかなり大きく死亡個体の摂取薬量は33〜100mg/kg, 生存個体の摂取薬量は27〜147mg/kgであつた.3)シリロシドを乾燥固型毒餌として用いた場合, その摂食性はドブネズミを死亡させるには0.017%濃度ではきわめて不十分であつた.固型毒餌におけるシリロシドによる摂食忌避性は0.083%以上において強くみとめられた.0.017%生サツマイモ毒餌の摂食性は乾燥固型毒餌に比較して良好で, すぐれた殺そ効果を示した.シリロシドの致死効果は4日以内を要し変動が多く, また, 致死薬量についても変動が大きく, 雄の死亡個体の摂取薬量は1.4〜4.5mg/kg, 生存個体の摂取薬量は0.3〜1.9mg/kgであつた.4)燐化亜鉛は1%毒餌として用いた場合, その摂食性はドブネズミを死亡させるには変動が多く不十分であつた.燐化亜鉛の濃度による摂食忌避性には変動が大きく一定の傾向はみとめられなかつた.燐化亜鉛の致死作用は速効的であつたが, 雄の死亡個体の摂取薬量は65〜143mg/kg, 生存個体の摂取薬量は69〜330mg/kgであつた.5)硫酸タリウムは乾燥固型毒餌, 生サツマイモ毒餌のいずれの場合もその摂食性はドブネズミを死亡させるには十分であつた.固型毒餌における硫酸タリウムによる摂食忌避性は0.15%以下ではほとんどなく, 0.3%では若干の忌避性がみとめられた.硫酸タリウムの致死作用は比較的遅効性で, その致死には摂食後2日ないし5日を要した.雄の死亡個体の摂取薬量は41〜187mg/kgであつた.
- 1970-11-30
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