アオカミキリモドキの有毒物質について
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概要
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カミキリモドキ科Oedemeridaeの甲虫の有毒成分については従来1, 2の研究があるが, カンタリジン(cantharidin)の如き物質とされていて化学的に明確を欠いていた.この点を明かにするため本実験を行つた.東京都内にて採集されたXanthochroa waterhousei Harold, 1875アオカミキリモドキの雌成虫の生体からDragendorff変法で抽出し, 再結晶及び昇華を行つて0.12%の収量で得られた白色結晶, C_<10>H_<12>O_4, は融点215-216℃を示し, Kahlbaum製カンタリジン(融点215-216℃)と混融するも全く降下しないので同一物質である.また赤外線スペクトル(図1)も両者が全く同一物質であることを示す.一方本虫の乾燥粉末の温水浸液(pH 6.2)より全カンタリジンの約20%を抽出することが出来た.残りの約80%はクロロホルム或いはエチルアルコールで抽出された.このことは虫体内において約20%はアルカリ塩をなしており, 有機溶媒に移行して来る約80%は遊離の状態で存在していたことを示す.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1958-08-10
著者
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