Chagas 氏病の病原体 Trypanosoma cruzi Chagas, 1909 とその媒介昆虫「サシガメ」に関する実験的研究 (予報)
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概要
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1.中南米に流行するChagas氏病の媒介昆虫サシガメ科の一種と, その病原体Trypanosoma cruziの寄贈を受けて実験的研究を行つた.2.このサシガメはMestor megistusであると考えられるが, 確定的な同定については今後の研究によつて発表したい.3.サシガメの飼育結果は, 実験室内飼育によつたのであるが, 246日間飼育して, 130匹の幼虫の内40匹が成虫になり, 82匹は死亡し, 残りの8匹は幼虫のまゝであつた.産卵及び孵化については, 18匹の雌が271コ産卵して, その内34コが孵化した.4.サシガメに対する感染実験を, 感染モルモットに附着吸血させて行つて, サシガメの体内原虫は28日以後にMetacyclic formになつたものを認め, 又その糞便中への原虫出現は感染14日目以後に検鏡によつて認めた.之に対して吻から採取した液には原虫は見出さなかつた.5.マウス及びモルモットに対する感染実験を行つて, マウスは10例中全例に原虫陽性であるのを認めたが, 多くは20日前後に死亡した.モルモットでは, 6例中2例に接種後30日前後に原虫陽性であつた.稿を終るに当つて, 此の研究に終始御懇篤なる御指導並びに御鞭韃を賜わつた, 佐々学博士, 林滋生博士に深甚の謝意を表し, 実験に御助力下さつた, 緒方一喜氏, 三浦昭子氏に感謝の意を表す.
- 1954-06-30
著者
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