日本および台湾の室内塵ダニ相に関する研究とくに室内塵アレルギーとの関係
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概要
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1)室内塵のダニ相を調査するため, あらたに有機溶媒比重分画法を考案し, ダニの抽出効率をしらべた.その結果, ダニ相により変動はあるが, 全体では第IV分画(1.5>比重≧1.45)が最多抽出分画であり, 第Iから第V分画の累積抽出率は96.8%であつた.また, 形態が完全な生ダニは全体で11.3%であつた.室内塵からのダニ抽出法につき, Spieksma法(1967)と比較しながら, 問題点を論じた.2)日本の8地域および台湾の1地域から採集した室内塵9試料につき, 有機溶媒比重分画法でそのダニ相をしらべた.室内微細塵(メッシュ≦200)1グラム中のダニ数は, 435から2, 050個体で, 平均1, 054.3個体, 検索総個体数は9, 489であつた.このうち, チリダニ科(新称)Pyroglyphidae Cunliffe, 1958は5種, Mealia pteronyssina, M. passericola, M. farinae, Euroglyphus mayneiおよびMalayoglyphus intermediusからなり, これはすべての試料に存在し, 全ダニ数の43.5%を占める優占種群であつた.また, Glycyphagus privatus, Chortoglyphus arcuatusおよびBlomia sp.などのニクダニ類が, 3試料においてそれぞれ優占種であり, 区別されたダニの種類は, 全体で17科36種以上であつた.これらは室内塵性の固有種とその捕食者, および迷入種とわけられよう.3)ここでしらべた9室内塵ダニ相につき, 数値分類学の方法を応用して比較・分類した.その結果, ダニ相の類似性にある種の関係がみとめられ, それが数値によつて表現できることがわかつた.4)室内塵性気管支喘息患者にたいする, 室内塵中に分布するダニおよびその糞の意義につき論じ, 臨床実験において観察されるダニの特異抗原性および共通抗原性を, 室内塵ダニ相から説明することを企だてた.
- 日本衛生動物学会の論文
- 1970-04-30
著者
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