豚トラップとドライアイス・トラップで採集されたコガタアカイエカの濾胞の大きさの比較
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概要
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蚊は, 小卵巣の形態変化から生理的年令が判り, 栄養生殖サイクルのどの位置にあるかを知ることができる。このことは, 用いた採集方法を併せ考えると, 蚊の生活史や, それと関連した活動性を解明することも可能であろう。著者は先に, コガタアカイエカはIb期の濾胞ステージで吸血するとはいえ, 同じIb期にあっても, ドライアイス・トラップ個体群よりも豚トラップ個体群の方がより老令であり, 吸血活動性も異なることを推論した。このことを確かめるために, 本報では豚トラップ個体群とドライアイス・トラップ個体群について, 各生理的年令にあるIb期の濾胞の大きさを比較検討することを試みた。その結果, 1. Ib期の濾胞の大きさには, 生理的年令および個体群の違いに関係なく, ある一定の季節変動パターンが認められた。2.未経産および1回産卵のうち柄部の収縮状態がA期とC期にあるIb期の濾胞の大きさは, 豚トラップ個体群の方がドライアイス・トラップ個体群よりも, それぞれ大きかった。3.同じ生理的年令にあるIb期の濾胞の大きさを豚トラップ個体群とドライアイス・トラップ個体群別に前半夜との間で比較したところ, 有意な差は認められず, このことは, 未経産蚊群で顕著であった。4. Ib期の濾胞は, 時間の経過とともに大きさを増すが, ある大きさに達すると, 吸血するまで一般にIb期に停まると同時に, 濾胞の大きさも一定であった。以上の結果から, 同じ生理的年令のIb期にあっても, 豚トラップ個体群の方が, ドライアイス・トラップ個体群よりも, より老令なものであることが判明した,
- 日本衛生動物学会の論文
- 1975-12-15
著者
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