悪性グリオーマの治療成績 : これまでのエビデンス

概要

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初発悪性グリオーマにおける治療に関するエビデンスの数は,他臓器の悪性腫瘍に比べ少なく,それらのエビデンスから導かれる勧告されるべき治療法も少ない.そのため,標準的に行うことのできる有効な治療法は多様性に欠けている.現時点におけるglioblastoma, anaplastic astrocytoma に対するエビデンスのある標準的な治療は,performance status を落とさぬよう可及的広範囲に腫瘍を摘出し,nitrosourea系薬剤を併用して拡大局所に50〜60 Gy の外照射を行い,できれば局所に追加照射を定位放射線治療等の方法で加えることである.しかし,これらの治療で満足のゆく治療成績が得られているわけではなく,将来,新たな有効な治療法が開発され,治療のエビデンスが得られることが望まれる.また,治療効果の評価として従来の生存期間,生存率以外にQOLを評価対象とすることにより,患者にとって適切で,より現実的な治療法のエビデンスが得られると同時に,新たな治療法のエビデンスも得られやすくなると考える.
日本脳神経外科コングレスの論文
2004-01-20