Extradural temporopolar approachによる脳底・内頸動脈瘤手術
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概要
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脳底動脈先端部動脈瘤あるいは頸動脈輪近傍内頸動脈瘤の手術は, 内頸動脈を長い距離にわたって露出し, その可動性を高めることが重要である.硬膜外側頭葉先端経由法(extradural temporopolar approach;ETA法)はこの目的に適している.側頭葉先端部硬膜と海綿静脈洞外壁の間を剥離し側頭葉を硬膜外から後方に引くことにより, 硬膜外かつ海綿静脈洞外から内頸動脈をC4部近くまで露出でき可動性を得ることができる.高位あるいは大きな脳底動脈先端部動脈瘤および内頸動脈輪近傍動脈瘤に対して本法を用い, 内頸動脈の両側に広く浅い作業空間を確保でき, 容易にクリップできた.これに対し脳底動脈・上小脳動脈分岐部動脈瘤に対して, 通常のpterional approachで十分と考え手術した.しかし内頸動脈と動眼神経の間にわずかな空間しか得られず, 内頸動脈を直接牽引したところ断裂が生じた.断裂部を被覆し動脈瘤をクリップしたが, 内頸動脈狭窄をきたした.再開頭し被覆圧迫部をゆるめ狭窄を解除したが, 脳梗塞を生じた.ETA法を用いていたら, 十分な作業空間で容易にクリップできたと思われた.脳動脈瘤クリッピングの肝要は, あたかも浅い洗面器の底のような空間で, 血管構築をすべて見渡せる術野を得ることに尽きる.狭く深い空間で名人芸を要するクリッピングは避けたい.step by step surgeryで確実にクリッピングできる方策が必要とされる.
- 日本脳神経外科コングレスの論文
- 2000-02-20
著者
-
高橋 麻由
新潟労災病院脳神経外科
-
高橋 麻由
関東労災病院脳神経外科
-
田中 純一
関東労災病院脳神経外科
-
茂野 卓
関東労災病院脳神経外科
-
厚地 正道
関東労災病院脳神経外科
-
小塙 聡司
筑豊労災病院脳神経外科
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石井 一彦
関東労災病院脳神経外科
-
小塙 聡司
関東労災病院脳神経外科
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吉河 学史
関東労災病院脳神経外科
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望月 俊宏
関東労災病院脳神経外科
-
茂野 卓
関東労災病院
-
Shigeno Taku
Department Of Neurosurgery Kanto Rosai Hospital
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