塞栓術後神経症状の急性増悪をきたした胸髄血管芽腫の1例
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概要
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血管芽腫に対する塞栓術は文献上その有用性が示されているが, 合併症の報告はない.われわれは塞栓術後急速に神経症状が増悪した胸髄血管芽腫の1例を経験した.臨床・画像所見から胸髄血管芽腫と診断された31歳の男性に対し, 術中出血を少なくする目的で術前に塞栓術を施行した.PVAを用いて塞栓し腫瘍濃染像は完全に消失したが, 約1時間後に両下肢の完全麻痺, 第5胸髄レベル以下の全知覚脱失が出現した.CT, MRIでは明らかな異常を認めなかった.緊急で椎弓切除・硬膜形成術を施行し, 直後より神経症状の改善傾向がみられた.後の腫瘍摘出術の際, 腫瘍内に陳旧性の血腫が認められた.脊髄血管芽腫に塞栓術を行うと腫瘍内出血し, 症状増悪の可能性がある.
- 1998-04-20
著者
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根本 繁
東京警察病院脳神経外科
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谷島 健生
東京厚生年金病院脳神経外科
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吉益 倫夫
東京厚生年金病院脳神経外科
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根本 繁
東京警察病院
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大脇 和浩
東京厚生年金病院脳神経外科
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谷島 健生
東京厚生年金病院
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