くも膜下出血患者の知的機能の障害と回復
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概要
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脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血後の知的機能の障害とその回復過程を明らかにする目的で,Wechsler adult intelligence scale-revisedを用いて検討を行った.70歳未満のくも膜下出血患者のうち,退院時にGlasgow outcome scale(GOS)でgood recovery(GR)と判定された51例とmoderately disabled(MD)の7例,計58例を対象とした.最終的なlQは,GR患者に比較してMD患者で有意に低く(p≤0.01),lQ障害とGOSの間に相関がみられた.さらに,発症直後と1年前後に反復測定を行ったGR患者23例中,10例では2回目のlQが有意に高く,SAH直後の一時的なlQ低下とその後の回復が示唆された.この10例と1回目と2回目のlQに差がみられなかった13例を比較すると,手術時期,術後の意識障害の程度,CT上のくも膜下出血の消失速度,術後脳血管撮影上の脳血管攣縮の程度に有意の差が認められた.早期手術に加えて脳槽ドレナージ,脳槽内ウロキナーゼ注入を併用し,速やかにくも膜下腔の血腫を除去することにより,lQの障害を軽減あるいは回避できる可能性が示された.
- 1997-04-20
著者
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櫻井 勝
香川県立中央病院脳神経外科
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松本 祐蔵
香川県立中央病院脳神経外科
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河田 幸波
香川県立中央病院脳神経外科
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萬代 眞哉
香川県立中央病院脳神経外科
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田中 良子
高松短期大学
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合田 雄二
香川県立中央病院脳神経外科
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守山 英二
香川県立中央病院脳神経外科
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目黒 俊成
香川県立中央病院脳神経外科
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