日本産雜草性ニシキソウ属(トウダイグサ科)植物の分類と分布
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概要
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日本には雑草性のトウダイグサ科ニシキソウ属植物Chamaesyceが9種1品種生育している。これらの植物のいくつかは日本で使われている学名に混乱が見られる。また,いくつかは帰化植物(江戸時代末期以降に日本に入ってきたいわゆる新帰化植物)であるか在来植物であるか扱いが分かれている。これらの植物の学名の混乱を整理するとともに,それぞれの種の日本での出現年代や分布の変遷などを調べ,帰化植物として扱うのが適当かを議論した。その結果,コバノニシキソウC. makinoi (Hayata) H. Haraは戦後に関東以南の本州,四国,琉球に広がった帰化植物であること,帰化植物として扱われることがあるシマニシキソウC. hirta (L.) Millsp.,ミヤコジマニシキソウ,およびイリオモテニシキソウC. thymifolia (L.) Millsp.は帰化植物ではなく,自生植物か,かなり古くから定着していた植物と考えられること,ハイニシキソウは典型的なものが関東以南に帰化しているほか,アレチニシキソウと呼ばれる毛の多いタイプが関東以南の本州と九州に広がっていること,イリオモテニシキソウの分布は主に琉球と小笠原であり,九州以北からの分布報告の多くは誤同定と考えられることを示した。また,オオニシキソウ,コニシキソウ,およびハイニシキソウの正しい学名はそれぞれC. nutans (Lag.) Small, C. maculata (L.) Small, およびC. prostrata (Aiton) Smallであることを解説し,ミヤコジマニシキソウに対して新組合せC. bifida (Hook. & Arn.) T. Kuros., comb. nov.を提案した。
- 日本植物分類学会の論文
- 2001-04-02
著者
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