無水フタル酸取扱い者の健康状態および作業条件に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Phthalic anhydride (PA) is well known as a chemical substance which is a potent irritant of mocous membranes and a possible cause of pulmonary sensitization. In a previous study, the authors reported a case of health disorder due to PA in a male worker engaged in the polymerization process of alkyd resin. He had been exposed to high concentrations of PA while throwing PA powder into the reactor and cleaning the floor, and had complained of symptoms such as sneezing, coughing, sore throat, urticarial exanthema and conjunctival hyperemia, which gradually appeared and culminated in a dyspneic attack 3 years after he began working in the factory. Provocation test suggested a diagnosis of bronchial asthma due to PA. After the occurrence of this case, a closed system using molten PA was introduced into the plant in 1968. In this paper, the results of a comparative study made in 1976 on the health conditions of PA-workers with control groups such as melamine-polyester workers, paint-producing workers and office workers, as well as measurements of PA concentrations in the ambient air under the present working conditions are reported. In that study questionnaires inquiring about occupational history and subjective symptoms were given and spirometries were also performed. PA concentrations in the air of the working area were measured using an ultraviolet spectro-photometer. The results were as follows: 1) In 1971, the rates of respiratory and eye symptoms among the PA-workers who had engaged in PA work before the introduction of the closed system were higher than the rates among those who started working after the introduction of the system. 2) In 1976, the rates of subjective symptoms among those who had engaged in PA work before 1968 became similar to the rates of those who started working after 1968. 3) The rates of respiratory and other subjective symptoms among PA-workers in 1971 were higher than those among the three control groups and also higher than those of PA-workers in 1976. 4) The rate sof subjective symptoms among PA-workers were almost the same as the melaminepolyester and paint-producing workers in 1976. 5) There were no statistical differences in pulmonary functions (%VC, %FEV_<1.0>″, MVV/BSA, PFR, V_<25>, V_<50>, V_<25>/Ht, V_<50>/Ht, V_<50>/V_<25> and V_<50>/BSA) observed between PA-workers and other control groups, except V_<50>/V_<25> between the paint-producing workers and office workers. 6) PA concentrations in the air ranged from undetectable amount up to 1.1 ppm under the closed system. Concentrations in the air were measured to be 24.9 ppm during the powder-throwing procedure and 77.3 ppm in areas where workers engaged in floor-cleaning before the introduction of the closed system. PA concentrations in the air escaping from the storage tank were 28.8 ppm, whlie concentrations in the air from the scaling tank ranged from 73.5 to 80.5 ppm. A recovery apparatus was subsequently attached to the end of the scaling tank vent pipe to prevent the escaping gas from contaminating the atmosphere. This procedure was effective in reducing PA concentrations in the air to 0.3-3.0 ppm. The authors conclude that the closed system was effective in improving health conditions among PA-workers resulting from the improvement of PA-working conditions.
- 1979-01-20
著者
-
原 一郎
関西医科大学
-
小河 孝則
岡山大学医学部衛生学教室
-
青山 英康
岡山大学医学部衛生学教室
-
太田 武夫
岡大医短
-
太田 武夫
岡山大学 保健
-
太田 武夫
岡山大学医学部衛生学教室
-
青山 英康
岡山大学医学部
-
原 一郎
大阪府立公衆衛生研究所労働衛生部
-
原 一郎
関西医科大学公衆衛生学教室
関連論文
- 3.イソシアネートによる過敏性肺臓炎の2例(一般演題,第15回職業性アレルギー研究会)
- 塗装作業従事アルバイト学生の皮膚障害例
- 隔日勤務タクシー運転者の睡眠および食事の周期
- 346. 有機溶剤中毒の発生状況と病態について : 有機溶剤中毒症例集の解析(有機溶剤,一般講演,第61回日本産業衛生学会・第44回日本産業医協議会)
- 一石綿工場従業員の20年間の追跡調査
- D302 職業性曝露に由来するシックハウス症候群様症状を示した2症例
- 18.室内ホルムアルデヒド濃度評価のための測定条件の検討(第41回近畿産業衛生学会)
- 5.開発研究に係る有機溶剤中毒・同疑い症例(第29回有機溶剤中毒研究会)
- 一化学工場における職業性歯牙酸蝕症と酸曝露との関係
- 構内下請けにおける有害業務の衛生管理状況
- 鉛中毒患者の長期追跡--特異なCT像と骨折による影響を示した一例
- いちじく栽培作業による職業性皮膚障害(II)
- 3.美容従事者の職業性皮膚障害 : 文献レビューの紹介(一般講演,第22回職業性アレルギー研究会)
- 29.クリーニング作業者の死因調査(一般演題,第32回近畿産業衛生学会)
- 17.塗装作業従事アルバイト学生の皮膚障害例 : 1.発見の経緯を中心に(一般演題,第32回近畿産業衛生学会)
- 25.しそ栽培業者の職業性皮膚障害の経過観察(第31回近畿産業衛生学会)
- 741 ^P-ポストラベル法によるDNA付加物の検出 : メチレンジアニリンとメチレンビス(2-クロルアニリン)(変異原・発がん,一般演題,第64回日本産業衛生学会・第50回日本産業医協議会)
- 印刷会社のVDT作業者に認められた視力変化
- メチレンジアニリンとメチレンビス(2-クロルアニリン)投与ラットにおけるDNA付加物の検出
- p-tert-Butylphenol (PTBP)使用職場におけるPTBP曝露評価
- n-ヘキサン曝露作業者の多発神経障害例
- 118. 芳香族ニトロアミノ化合物による生体障害の研究 : メタニトロアニリンの毒作用に関するヒトとラットについての比較研究 (有害有機物)
- 24.鉛則が適用されない職場における鉛曝露 : 美術工芸製作労働者の事例より(第44回近畿産業衛生学会)
- 136. パラ-ニトロ-オルソ-トルイジン作業者の職業性肝炎の1例 (有害有機物)
- 127. コンデンサー工場におけるPCB使用中止後の追跡検診 (第7報) (有害有機物)
- 119. コンデンサー工場におけるPCB使用中止後の追跡検診 (第6報) (有害有機質)
- テーマ4 重金属取扱作業者の健康診断 : 鉛・カドミウムを中心に (第9回日本産業医協議会記事)
- 蛍光灯器具用コンデンサーの破裂事故によるPCB曝露事例
- 044. イソシアネート中毒の実態調査的研究
- 538 アルキルフェノールによる皮膚白斑症の労働病理学的研究 : 第1報 皮下注射実験
- 538. アルキルフェノールによる皮膚白斑症の労働病理学的研究 : 第1報 皮下注射実験
- 266. トリエチルアルミニウムの毒性について : 1. 急性中毒実験 (中毒 : 有機金属化合物)
- 129. 芳香族ニトロ,アミノ化合物取扱い作業者の赤血球スーパーオキシドディスムターゼの変動について (有害有機質)
- 343. しそ栽培業者にみられる職業性皮膚障害とその予防対策について(続)(健康管理・健康診断,一般演題,第62回日本産業衛生学会・第46回日本産業医協議会)
- 最近経験した職業性皮膚障害の症例
- 1.昭和前半期の労働衛生と助川先生-1)実践労働衛生と助川先生(一般口演,第56回労働衛生史研究会,地方会・研究会記録)
- タクシー運転者の健康に関するアンケート調査 : 労働条件日常生活との関連の検討
- 法と健康--いかに理解し,いかに取り組むべきか(要望課題) (第16回社会医学研究会)
- 217. 下請企業労働者の衛生問題
- 無水フタル酸取扱い者の健康状態および作業条件に関する研究
- 154. 芳香族アミン暴露作業者の重複がん (有害有機物)
- 136. ビニル履物製造作業者のベンゼル中毒の経過観察 (工業中毒(有機溶剤))
- 第1部 「有機溶剤管理,作業環境管理および健康管理」 (有機溶剤中毒の予防 : 有機溶剤中毒予防規則の問題点)
- 506. 大阪における溶剤取扱い作業の現状
- 506 大阪における有機溶剤取扱い作業の現状
- Bis(chloromethyl)etherによる職業性肺癌の疫学的検討
- 8. オフセット印刷用エッチング液による皮膚障害の症例
- 3. 零細伸鉄工場に発生した鉛中毒について
- 第2部 「健康管理方式」 (有機溶剤中毒の予防 : 有機溶剤中毒予防規則の問題点)
- 8. 比較的長い経過をとったTDI中毒症例
- 618 港湾荷役作業者における急性パラニトロクロルベンゼン中毒例 : (1) 発生状況と症状経過(有害有機物,一般講演,第58回日本産業衛生学会・第38回日本産業医協議会)
- 5.港湾荷役における急性パラニトロクロルベンゼン中毒の事例(第24回近畿産業衛生学会)
- 50. 芳香族ニトロアミノ化合物による生体障害(有機溶剤,一般演題,第57回日本産業衛生学会・第36回日本産業医協議会)
- 194. ニトロ,アミノ化合物のスーパーオキシドディスムターゼに対する作用 : 生体位とガラス器内 (その他有害物質)
- 156. 芳香族ニトロアミノ化合物取扱い作業者の暴露状況と生体影響調査 (その2) : 尿中ジアゾ反応陽性物質の生理学的中毒学的意味 (有害有機物)
- 155. 芳香族ニトロ・アミノ化合物取扱い作業者の暴露状況と生体影響調査 (その1) : 尿中ジアゾ反応陽性物質による暴露評価 (有害有機物)
- 2. 芳香族ニトロアミノ化合物取扱い作業者の赤血球酵素活性の変動について (そのII) (第122回関東地方会例会)
- ベンジジンおよびβナフチルアミン曝露者における癌死亡についての疫学調査
- 2. 集団検診における毛細管ヘマトクリットの利用貧血ならびに赤血球沈降速度のスクリーニング
- 急速に近視が進行したVDT作業者の1例
- 920 VDT作業者の自覚症状と他覚的調節機能の関係(VDT,一般講演,第61回日本産業衛生学会・第44回日本産業医協議会)
- 21.急激に近視が進行したVDT作業者の一例(第26回近畿産業衛生学会)
- 有機物(座長のまとめ,第66回日本産業衛生学会)
- 705 塗料工場における有機溶剤曝露の長期観察(有機溶剤,一般演題,第64回日本産業衛生学会・第50回日本産業医協議会)
- わが国における工業用有機溶剤使用の実態に関する調査研究
- 12. 溶剤製品全国調査 (その2) : 塗料,インキ,接着剤,その他 (有機溶剤)
- 11. 溶剤製品全国調査 (その1) : シンナー, 洗浄剤, 試薬その他 (有機溶剤)
- 労働安全衛生法施行後の問題点(自由集会) (第16回社会医学研究会)
- 中小零細企業における職業性中毒の回顧(特別講演,第24回中小企業衛生問題研究会全国集会)
- 4.最近の職業性中毒事例 : 小零細事業所における(一般演題,第22回中小企業衛生問題研究会)
- 2.塗料工場における溶剤作業の変貌(第27回労働衛生史研究会)
- 326. 工業ガソリン中のn-ヘキサンおよびベンゼンその他の芳香族溶剤成分(有機溶剤,一般講演,第61回日本産業衛生学会・第44回日本産業医協議会)
- 2.有機溶剤中毒症例検討についての提案(有機溶剤中毒の症例収集について,第14回有機溶剤中毒研究会)
- 4.産業保健と地域保健の連係への展望 : 公衆衛生学会ミニシンポの討議から(一般報告,中小企業衛生問題研究会第18回全国集会)
- 12.ビスクロロメチルエーテル(BCME)暴露作業者にみられた肺がんの1例(第25回近畿産業衛生学会)
- 危険化学物質の取扱いと安全管理, 米国国立科学研究審議会数学物理科学会議 実験室における危険性物質に関する委員会編, 村上悠紀雄,今宮俊一郎,川西康博,川西幸子共訳, A5判, 269頁, 4,500円, 1985.5刊, 三共出版, 東京
- 6.大阪における職業性尿路腫瘍の歴史(第18回労働衛生史研究会)
- 286. エポキシ樹脂皮膚炎症例の実験的アレルゲン検索(有害物,一般演題,第57回日本産業衛生学会・第36回日本産業医協議会)
- 座長のまとめ (134〜136) (物理環境等)
- 鋭い観察と忠実な報告 : 産業医への期待
- 51. 夜勤の免疫機能に及ぼす影響について (労働生理・疲労)
- 座長のまとめ (21〜25) (有機溶剤)
- 接触アレルギー反応の機序とその評価方法
- 小脳などの中枢神経障害をきたした亜急性トルエン中毒の一例
- 122. ハプテンおよびエポキシン樹脂による白血球遊走阻止因子の誘導 (有害有機物)
- 座長のまとめ (44〜46) (有機溶剤)
- 座長のまとめ (158〜159) (有害有機物)
- 5. 尿中代謝物と個人サンプラーによる気中溶剤濃度の関係 : トルエン・キシレン暴露者について (第19回近畿産業衛生学会)
- 尿中代謝物測定による有機溶剤暴露の評価
- 座長のまとめ (227〜229) (有機溶剤)
- 106. 鉛イオンのマウスTリンパ球機能に及ぼす効果 (鉛)
- ヨーロッパの労働医学をみて
- 130. スミチオン散布作業者の健康調査
- 129. 慢性有機燐中毒が疑われる神経障害の一例
- 5. 最近経験した職業皮膚障害の症例 (第8回近畿産業医学会)
- "新しい産業中毒"を防ぐために
- 423. ジメチルムホルムアミド(DMF)中毒の症例
- 1. 「特殊健康診断」の事後措置の隘路と対策 : 中小染料工場における事例研究
- 423 ジメチルホルムアミド(DMF)中毒の症例
- 5. ベンゼン取扱い作業による尿中フェノール出現と防毒マスク使用の効果について