高温条件下におけるイチジク樹の生育に及ぼすNaClの影響

概要

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1.イチジク'桝井ドーフィン'および'蓬莱柿'の挿し木個体を, 30/25±5℃の制御温室において, 0,20,40,60mMNaClで6週間処理した.NaCl濃度が高まるにつれて, 樹体生長の抑制の程度が大きくなり, 葉茎内のNaおよびCl含量も高くなった.しかし, 地上部には塩類による障害は現れず, イチジクは体内の高いNaやCl濃度に耐える機構を持っていると思われた.葉中のNaおよびCl含量と光合成速度との間には負の相関関係が見られ, このような光合成能の低下が生長抑制の原因と考えられた.2.'桝井ドーフィン'の挿し木苗に, 1.と同様の制御温室において, NaCl0,20,40,60mM水溶液を6週間与え, その後は30週間水道水で灌水して生育させた.処理期間中, 樹体生長と光合成速度はNaCl濃度が高くなるほどより強く抑制された.処理を中止した後, 光合成能は徐々に回復したが, 樹体生長は0mM区を含めたすべての個体で約18週間停止した.24週間目からいずれの処理区でも生長が再び開始され, NaCl処理区の個体においても生長がある程度回復した.20および40mM区では樹勢の回復とともに花芽形成が促進された.
日本熱帯農業学会の論文
1994-12-01