抵抗性イネ品種の混作に対するタイワンツマグロヨコバイ個体群の適応
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概要
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タイワンツマグロヨコバイ(GLH)はイネツングロ稈菌状ウイルス(Rice tungro bacilliform virus : RTBV)とイネツングロ球状ウイルス(Rice tungro spherical virus : RTSV)を媒介し, イネツングロ病を発病させる熱帯アジアの重要害虫である.GLH抵抗性崩壊への対策として2種類のGLH抵抗性品種の混作がGLH個体群に及ぼす影響を調べた.GLH抵抗性品種IR42とPankhari203との混作上でGLHを飼育選抜したところ, 飼育第1代では世代を終えるのに43日必要であったが, 3世代目以降では感受性品種と同様に約30日で世代を終えるようになり, 2種類の抵抗性品種の混作がGLH抵抗性を安定させる効果は認められなかった.また, この混作上で12世代選抜されたGLH個体群はIR42とPankhari 203上で感受性品種と同様に生存し, IR42にはRTBVとRTSVの両ウイルスを, Pankhari203にはRTBVを感染させることができた.従って, 混作により, 混合された全てのGLH抵抗性品種が抵抗性を示さないGLH個体群の発生を招く危険性が高いと考えられた。
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1995-09-01
著者
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HABIBUDDIN Hashim
マレイシア農業開発研究所
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Habibuddin Hashim
Malaysian Agricultural Res. And Dev. Penang Mys
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根本 博
熱帯農業研究センター(現)茨城県農業総合センター生物工学研究所
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根本 博
熱帯農業研究センター
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