イネ品種Basmati 370とIR 50におけるイネツングロ病抵抗性機構と遺伝様式
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概要
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イネツングロ病(RTD)はタイワンツマグロヨコバイ(GLH)によって媒介されるRice tungro bacilliform virus(RTBV)とRice tungro spherical virus(RTSV)が重複感染することによって発生する熱帯アジアの重要なイネのウイルス病である.マレイシアにおける抵抗性育種の母体として利用するため, RTD抵抗性品種Basmati 370とIR 50の抵抗性要因とその遺伝様式を検討した.加害性の異なる2種類のGLH集団を用いて, 抗生作用によるGLH抵抗性検定と人為接種法によるRTBV・RTSV感染抵抗性検定を行った結果, IR 50にはGLH抵抗性, Basmati 370にはRTSV感染抵抗性が作用していた.また, 感受性品種とのF_3およびF_6系統を用いて, 各抵抗性の遺伝様式を調べた結果, Basmati 370のRTSV抵抗性は劣性1遺伝子に, IR 50のGLH抵抗性遺伝子は部分優性の1遺伝子によって支配されていると推定された.しかし, 感受性品種とのF_2とF_5世代において選抜の効果を調べた結果, Basmati 370のRTSV抵抗性は, F_2世代の個体選抜が有効なのに対して, IR 50のGLH抵抗性はF_2世代の個体選抜は効果がなく, F_5世代の系統選抜で効果が認められた.またBasmati 370のRTSV抵抗性は出穂期と籾幅との間に遺伝的関係を示したが, IR 50のGLH抵抗性はトビイロウンカ抵抗性も含め主要形質とは独立に遺伝した.
- 1998-06-01
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