マレイシアにおけるイネ系統MR118のツングロ病抵抗性の崩壊
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概要
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1989年から1991年にかけてマレー半島北部で普及前の育成系統に発生したツングロ病(RTD)抵抗性崩壊の過程とその原因を検討した.1989年Penang州Permatang Bendahari地区において,マレイシア農業開発研究所の育成系統を自然発病下で栽培したところ,MR114,MR118,MR119の3系統はRTD抵抗性と判定された(表1).しかし,翌年,BukitMerah地区において栽培されたMR118にRTD発病を認め,さらに1991年,Bum-bongLimaとKua1aMuda地区においてMR114とMR119はそれぞれ抵抗性と中程度抵抗性であったのに対して,MR118はこの地区で広く栽培されたRTD抵抗性品種IR42とともに感受性と判定した(表2,3).従って,MR118は普及以前の1990年から1991年にかけてPenang州北部からKedah州南部においてRTD抵抗性を失ったと考えられる(図1).MR118のRTD抵抗性機構を媒介虫であるタイワンツマグロヨコバイ (GLH)抵抗性検定とIR42に加害力をもつ選抜系GLHの接種試験によって推定すると,MR118のGLH抵抗性はIR42と似たGLH抵抗性である(表4,5).従って,MR118が普及前に抵抗性を失った原因はIR42を加害できるGLHが増加したことによって引き起こされたと推定した.
- 日本育種学会の論文
- 1995-09-01
著者
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根本 博
熱帯農業研究センター:(現)中国農業試験場
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根本 博
熱帯農業研究センター
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Habibuddin H
Malaysian Agricultural Res. And Dev. Penang Mys
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Nemoto Hiroshi
熱帯農業研究センター
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Habibuddm Hashim
マレイシア農業開発研究所
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Chen Yoke
マレイシア農業開発研究所
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Hadzim Khalid
マレイシア農業開発研究所
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