開発途上国に対する農業技術移転に関する研究 : 明治維新から第二次世界大戦までの日本について
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概要
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農業技術移転を推進する場合, 社会経済的条件と移転の方法・移転技術の内容に, おおよその関連性のある点が指摘されているが, この点に関する実証的研究はわが国に関する限り, 現在緒についたばかりである.本研究の目的は, わが国明治維新以降第二次大戦までの社会経済的発展と農業技術移転制度の発展過程を辿ることにより, 農業の発展段階と技術移転の方法・内容に関し, 関連性や特色を見出そうとするところにある.研究は次の順序で進めた.1.明治前期における社会経済的環境と農業技術移転の特色2.明治後期から大正前期における社会経済的環境と農業技術移転の特色3.大正後期から第二次世界大戦までの社会経済的環境と農業技術移転の特色この結果, 明治維新以降第二次大戦までのわが国の農業技術移転はその特徴から3期に区分される点が明かとなった.また移転方法及び移転技術は次のような変遷傾向を示すことが確認された.すなわち, 移転方法については, 発展の初期段階から, 発展するにつれて, 個人的・私的なものから, 組織的・公的指導方法へ, 個別的・直接的指導から間接的集団指導方法等へ, また移転技術の内容に関しては, 単なる新技術から, 適性化されたものへ, 使用上容易なものから複雑なものへ, 単価の安いものから高いものへ, 主食作物からその他のもの(商品作物)へ, 量的拡大のための技術から, 質的充実のための技術へ等である.これらの知見は現在技術移転を推進しつつある熱帯地域の多くの途上国にとって参考となるものと考えられる.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1991-03-01
著者
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