四倍体のサツマイモ近縁野生植物の形態と交雑性
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概要
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四倍体のサツマイモ近縁野生植物25種類を供試して, 花器, 萼片, 及び茎葉に関する57形質を調査し, 変異の認められた47形質について主成分分析法によりその変動様相を明らかにした.供試した25種類はこれにより四つのグループに分類することができ, その一つは葉が小さく, 厚く, 膜質あるいは革質であるという特徴をもっており, 他の3つのグループとは著しく異なっていた.しかし, グループ内あるいはグループ間で行った交配実験の結果, いずれのグループとの交雑においても交雑率に有意な差が認められないことが明らかとなった.これは形態的に差があったとしても生物学的な隔離は十分に進んでいないことを示唆するものであった.また, グループ間の交雑の後代の形態は両親の中間的な特徴を示し, 変異は連続的になった.これにより, サツマイモと交雑が可能な四倍体近縁野生植物は分類学的には一つの種に属すると判断された.サツマイモ近縁野生植物の形態分類を精力的に行ってきた米国の研究グループによる研究蓄積と今回得られた形態変異及び交雑性に関する知見から, わが国でこれまでI.trifidaであるとしてきたこれらの植物はI.batatasとするのが妥当であると結論した.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1999-03-01
著者
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