インドネシアで栽培されるダイズ品種の日長反応
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概要
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インドネシアに栽培されているダイズ9品種を, 対照とする日本の1品種とともに28℃の温度条件で10〜14時間の日長処理を行い, 開花まで日数を調査した。開花まで日数の日長反応曲線を指数曲線または双曲線で近似し, 基本栄養生長性, 適日長限界(この日長を越えると開花が遅延し始める日長), 感光性のそれぞれに相応するパラメーターを各品種について推定した。インドネシアの品種は基本栄養生長性が大きく, 適日長限界が短いという低緯度の短日条件に適応する性質を示した。開花期の遅い品種ほど感光性が大きく, インドネシアにおいても品種の早晩性は感光性によっていることが推定された。しかし, 最も晩生のNo.29は基本栄養生長はもっとも大きく, 適日長限界はもっとも短かったが, 感光性は早生品種と同程度に小さく, この品種は広域適応性の育種素材として有望であると考えられた。上述の日長反応性に関わるパラメーターの開花日決定上の意義を検討するために, 緯度25℃における自然日長に相当する模擬的な日長を28℃の温度条件下で設定し, この日長条件下で2週間間隔でダイズ3品種を播種し, 開花まで日数を調査するとともに, パラメーター推定値を用いて各播種日の開花まで日数を予測した。開花まで日数は観察値よりやや大きく予測される傾向があり, 予測値と観察値の一致の程度は双曲線回帰によって得られた推定値を用いた方がやや高く, 品種により程度の差はあったが, 予測値と観察値はよく一致した。このことから, 上述の三つのパラメーターによって, 比較的短い日長域におけるダイズ品種の日長反応性はほぼ説明できると考えられた。
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1996-03-01
著者
-
丹羽 勝
茨城大学農学部
-
李 裁然
茨城大学農学部
-
丹羽 勝
茨城大学農学部:(現)渡辺農事株式会社研究農場
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李 截然
茨城大学農学部
-
三階松 良枝
茨城大学農学部
-
三階松 良枝
茨城大学農学部:(現)渡辺農事株式会社研究農場
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