ウィルソン病とその薬物治療
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概要
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ウィルソン病では銅が肝臓に蓄積するため肝硬変に進展するのが主病変であり,合併症の錐体外路障害では,ふるえ,不随意運動に始まり末期には寝たきりとなるので,いずれにせよ予後の悪い疾患であった.1)低セルロプラスミン血症を利用した簡易診断法と銅の内服キレート剤であるペニシラミン(D-penicillamine)の導入は,本症の診断,治療に新しい道を開いた.本症は若年性肝硬変の成因の1つであるが,肝炎ウイルスなどによる病態と著しく異なる点は,薬物治療がほぼ確立しており,肝硬変に至った症例でも社会復帰が可能になることである.しかしながら,臨床症状が多彩であるために診断が遅れ,重度の錐体外路障害を発現した患者では,薬物治療にも限界がある.したがって,まず正確な診断をして,有効性の確認された薬物による除銅治療を早期に開始し,これを継続することに尽きる.新しい薬剤については科学的な評価に基づく適切な選択が必要である.
- 社団法人日本薬学会の論文
- 2004-11-01
著者
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林 久男
愛知学院大学薬学部薬物治療学講座
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林 久男
北陸大学薬学部附属創薬研究施設
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林 久男
北陸大学 薬学部薬物治療学教室
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涌澤 伸哉
名古屋大学医学部保健学科医療技術学専攻
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鈴木 理恵
北陸大学薬学部薬物治療学教室
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涌澤 伸哉
北陸大学薬学部薬物治療学教室
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林 久男
愛知学院大学薬学部薬物治療学
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林 久男
北陸大学 薬 薬物治療
-
林 久男
北陸大学薬学部創薬研
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