液滴向流クロマトグラフィーによる血清脂質の分画
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
血清脂質は遊離型およびエステル型のコレステロール(ChおよびCh-E), トリグリセライド(TG)にジーおよびモノグリセライド(DGおよびMG)を含む中性脂肪(NF), 遊離脂肪酸(FA), リン脂質(PL)に加えて少量の脂溶性物質からなる複雑多種類の混合物であるため, これらの成分を分離するために各種の溶体クロマトグラフィーガ工夫されている.そのなかで固定相に固形担体を使用しない向流分配法Countercurrent Distribution(C.C.D.)による脂質の分離は装置の複雑さ, 振とう静置の後2層に分離するためエマルジョンができやすいこと, 加えて分配回数は100回以上を必要とするために所要時間や溶媒の使用量, さらには操作の面倒さなどの点でその利用は極めて少ない.著者らは谷村らにより開発された向流クロマトグラフィーの一種である液滴法Droplet Countercurrent Chromatography(D.C.C.)は従来のC.C.D.の使いにくい面が改良され, 更にC.C.D.では得られなかった連続的分配が容易に行なえる点で脂質の分離に適したものと考え, 内径2.4mm, 長さ1200mmのガラス管をカラムにしたD.C.C.装置を自製して血清脂質の分画を試みた.溶媒は2層に分離しやすさを考えてheptane : butanol : 60% acetic acidを一応基準に選び, これにchloroform(CHCl_3), methanol(MeOH)あるいはbenzene(PhH), ethanol(EtOH)を種々の比率にて組み合せた4-5成分の混合溶媒系について, 各上層液upper phase(U-P)と下層液lower phase(L-P)との比重差, 脂質の分配係数, カラム内での液滴の形成およびTLCを用いて脂質の分離などを調べて使用溶媒系を選定した.その結果heptane : butanol : chloroform : methanol : 60% acetic acid(3 : 2 : 2 : 3 : 5,v/v)およびheptane : benzene : chloroform : ethanol : 60% acetic acid(2 : 3 : 1 : 4 : 3,v/v)の2種が著者らのカラムサイズでのD.C.C.に適していることを認め, この溶媒系を用いて血清脂質を一応NF, FAおよびPLの3つに分画できた.
- 1976-12-25
著者
関連論文
- 液滴向流クロマトグラフィーによる血清脂質の分画
- 血清Cl^-の螢光滴定
- 螢光滴定による血液コリンエステラーゼ活性の微量測定
- 螢光滴定による体液リパーゼ活性の微量測定
- Diphenylcarbazideを用いる血清遊離脂肪酸微量比色定量の改良について
- Middle Molecule Substances in Hemofiltrate of Dialysis Patients:II. A Characteristic of Uremic Peptides Isolated from Hydrophobic Middle Molecule Fraction
- Middle Molecule Substances in the Hemofiltrate of Dialysis Patients:I. Separation of Peptidic Substances by "Hydrophobic" HPLC