ヒメカメノコテントウの捕食率, 発育及び生存に及ぼす餌密度の影響
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概要
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ヒメカメノコテントウ幼虫が餌密度の高低によって, 捕食, 発育, 成長, 生存に対して各発育段階を通じて, どのように影響されるかを実験条件下で比較検討し, 次のような結果を得た.(1) 捕食数は, 各令とも餌密度の増加とともに増加するが, 一定餌密度以上では, 増加は次第に減少し, 令ごとに一定の上限をもった飽和型の曲線となる.(2) 餌密度と幼虫の生存率および成虫の産卵の有無について調べたところ, 餌アブラムシが一定数(6匹)以上あれば成虫に達し, 産卵が可能であり, 一定数(4匹)以下では幼虫は死亡する.ヒメカメノコテントウの産卵の有無を決める餌密度6匹と, 全ての個体が成虫化し産卵可能な餌密度12匹の間に, このテントウムシの次世代を残すに必要な餌数があるものとおもわれる.(3) 各令とも餌密度の低いものほど, 令期間は長くなる傾向を示している.また各令とも, ある一定餌密度以上からは, 近似した令日数を示す.(4) 成長量は1・2令では餌密度間での差は小さいが, 3・4令になると餌密度の高低で顕著な差が示される.日当り成長量(G)と日当り捕食量(C)の間には直線関係が成立し, 加令とともに成長効率(G/C)が高くなる傾向がみられる.(5) 森下の提案した食物浪費量の指数(μ)を求め, 無駄食いについて検討した.4匹区ではμは2.33であり, 6匹区, 8匹区ではそれぞれ0.43, 0.18, 12匹区では0となる.無駄な捕食は餌密度の増加とともに減少する.(6)ヒメカメノコテントウは, 餌が少ない場合には, 令日数を長くすることにより, 1日当りの栄養蓄積量の不足を補ない, さらに不足する場合には, 小型の成虫になる.これは子孫を残す可能性を高めるための, 生物としての適応的努力の結果とみることがでさる.
- 日本昆虫学会の論文
- 1979-06-25
著者
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