スギタマバエ Contarinia inouyei MANI (Diptera, Cecidomyiidae) の生態に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
京都市近辺の2ケ所のスギ造成林においてスギタマバエContarinia inouyei MANIの生態と個体数を調査した.その結果は次のように要約される.1. 京都におけるスギタマバエの発生は5月上旬を最盛期として年1回である.2. 幼虫の大多数は夏期ほとんど成長せず, おそらく夏眠を行なうようである.これらは秋になって急速に成長を開始し虫こぶから脱出して落下する.しかし個体群のごく一部の個体には夏も成長を続けて7月までに落下するものがみられ, これらは年内に羽化する可能性がある.3. 幼虫の死亡率は針葉への潜入期から虫こぶ形成期にかけて高いが, 虫こぶが完成されてからの死亡はきわめて少ない.この幼虫の死亡率は芽あたり虫こぶ数(幼虫数)の増加につれて高くなり, 特に若令木ではその傾向が顕著である.この時期の幼虫死亡は, スギタマバエ個体群密度の調節に有効にはたらいているようである.4. 幼虫の寄生蜂スギタマヤドリヒメコバチTetrastichus sugitamabae YASUMATSU et YOSHIIはスギタマバエ個体数の制ぎょには役だっていないようである.5. 土壌中における冬期の幼虫, 蛹の死亡率はきわめて高く, これがわずかに変動しても翌年の羽化数に著るしい影響をおよぼすであろう.
- 日本昆虫学会の論文
- 1976-12-25
著者
関連論文
- 合成ピレスロイド剤散布下の露地栽培ナスにおけるカンザワハダニと天敵2種の発生消長
- カンザワハダニの休眠覚醒に及ぼす日長と温度の効果
- スギタマバエ Contarinia inouyei MANI (Diptera, Cecidomyiidae) の生態に関する研究
- 奈良県下のナミハダニの発生分布
- 奈良県に発生するナミハダニ個体群の休眠性
- ケナガカブリダニの休眠性における変異
- ナミハダニとカンザワハダニの種間交配