1. 溶接による変形の発生と防止の基本的考え方(溶接変形の発生とその防止)
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概要
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溶接による変形や残留応力の発生機構の解明とその対策は古くして, 新しい問題である。この問題解明の難しさは塑性変形, 大撓みおよび割れの発生等の諸現象が複雑に絡み合った典型的な非線形問題である点にあると思われる。過去数十年に亘る先人のたゆまぬ努力によってこの問題はある程度学問的には究明されてきているが昨今注目を浴びているCAD/CAM化には未だ程遠い現状にある。著者は溶接変形解析は現状の定量化を主体にした研究から脱脚し, 溶接変形メカニズムの定性的把握を重点とした研究へと発想の転換をはかり, 先人が現場で積上げてきた経験的ノウハウのデータバンク化を推進すべきであると考える。この様な研究成果の集積によって溶接変形発生メカニズムの定性的予測が可能となれば, 次の段階は当然その定量化研究の推進であろう。しかしながら我々の最終目標はあくまで溶接変形の適確な予測とその防止対策技術の確立である。そのためには勿論精緻な定量化研究が先行しなければならないと考えるが, それは往々にしてアナリシス(analysis)に終りがちであり, 我々は工学的判断や経験の上に立ったシンセシス(synthesis)の方法論を確立してゆく必要があるのでなかろうか?この様な点を考慮した溶接変形解明の基本的考え方について私見を披露したい。
- 社団法人溶接学会の論文
- 1983-04-05
著者
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