黒潮再循環域における中規模渦の軌跡

概要

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TOPEX/POSEIDONおよびERS衛星搭載高度計によって得られた海面高度偏差資料を用いて,黒潮再循環域における中規模渦のふるまいを調べた。中規模渦を抽出するバンドパスフィルターをかけて,10日毎に作成した海面高度偏差図から,低気圧性渦と高気圧性渦の軌跡を求めた。その結果,双方の渦とも黒潮続流域の南側から出現し,再循環域を西方に伝播していることが分かった。これらの渦の西向き伝播速度は約7cm s^<-1>であり,この値は,この領域に対して理論的に求められる傾圧第1モードのロスビー波の位相速度よりもずっと速い。また,伊豆小笠原海嶺付近では,大部分の渦は八丈島と小笠原諸島間の水深の深い海域を通過するが,幾つかの渦はこの海嶺付近で減衰する。このように渦の軌跡は,海底地形の影響を受けている可能性が示唆された。さらに,伊豆小笠原海嶺を通過した渦のいくつかは,四国の南方や九州の東方で黒潮と衝突していることも見出された。この衝突が,日本南方における黒潮流軸変動の引き金になっている可能性がある。
日本海洋学会の論文
2002-03-05