ルビーアカヤドリコバチおよびアカヤドリコバチの寄主選択の研究 : 2.ルビーアカヤドリコバチの第1化期と第2化期における寄主選択性の相違
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概要
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Reinhard, E. G., 1956, Parasitic Castration of Crustacea. Experimental Parasitology, voi. 5, No1, pp. 79-107. 所謂寄生去勢の最も新しい綜合抄録であつてGird('86)からSmithを経て1954年に至る殆んど全ての文献を網羅し宿主の外形及び内臓に対するSacculinization、Epicaridizationがまとめられている。最後の章Theories to explain parasitic castrationではまず生殖巣が必ず犯されるのは寄生虫の直接的影響である事を結論し、次に外部性徴の変化については種々考察の後Goldschmidtの説を一部補足して結論としている。即ち、1)Metabolism説ではSmithの脂肪代謝説その支持説と反対説を中心にVeillet、平岩・佐藤、Baffoni等の意見を紹介する。2)Hormone説ではLipschutz、Koller等の性ホルモン説と竹脇・中村、Charniaux等の否定的実験をあげ、Courrierの生殖腺以外にホルモン源を求める説と松本の神経分泌説にはまだ実験的証明が欠けている点を指摘しBiedl(ホルモン源を寄生虫側に置く)Brinkmann(営養とホルモンの相互説)等にもそれぞれ反駁する。3)Goldschmidtの間性説では寄生虫によつてMが抑制されFが助長されるとするならば雄形態の間性化は考えられるが同じF助長の寄生虫によつて雌性徴中のpleopodに退化(Reinhard;松本)が認められる理由が説明出来ないと述べる。4)最後に著者はGoldschmidt説の弱点たる雌形質の間性化に対しまず少くとも卵巣はある種のホルモンを分泌すると考えられる幾つかの例をあげた後雌の性徴に限り二つの型がありその一つは(例、腹部の幅)Fの支配下にあるが今一つの法(pleopod)は卵巣ホルモンの支配を受け両者は互に無関係であるとして"Goldschmidt's theory, in modified form"を提唱している。蛇足であるが著者のこの結論は宮下(科学、'35)岡田(実験形態、'43)等の意見からまだ一歩も出ていないといえよう。しかし戦争前後から最近に至る多くの文献を整理紹介している点で価値があろう。(岡山大学、理学部生物学教室 松本邦夫)
- 社団法人日本動物学会の論文
- 1956-07-15
著者
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