細胞膜における活動電位伝搬蛍光計測

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生体における電気現象は広く密接に生体機能に関係している.そのため,器官,組織の機能の検討,さらにそのメカニズムを解明するため,細胞,分子間レベルでの微視的研究において電気生理学的特性は重要なパラメータとなる.近年,オプトエレクトロニクスの発展にともない,細胞や組織に対し,種々のパラメータが光学的計測により行われている.そこで,我々は細胞膜活動電位と細胞内カルシウム濃度に注目し,物理的に生体機能の解明の一つとなることを目的としている.膜電位感受性色素で染色した生体組織に光を照射すると,細胞の膜電位に応じて透過光の強度や,色素より生じる蛍光放射強度が変化する.この現象を用いた膜電位の計測は,光学的膜電位計測と呼ばれている.光学的膜電位計測は,膜電位計測時に電極の刺入の必要のない非侵襲な手法であり,また,単色性,空間分解能に優れたレーザ光源を用いることにより,励起光(レーザ光源)と蛍光の分離が容易に行え,微小領域の計測が可能となり,また,レーザを走査することにより多数点の膜電位を計測することができる.一方,細胞内カルシウム濃度も蛍光性カルシウム指示薬(カルシウム感受性色素)により光学的計測が可能となった.近年,生体膜の活動電位の伝搬計測には,CCDカメラやフォトダイオードアレイなど計測領域全体に光を照射し蛍光を検出する方式である.この方式では,各色素から放出される蛍光が重なり像にぼけが生じてしまい空間分解能が良くないと考えられる.そこで,本研究では,まずは細胞膜活動電位に対して,高速アクセス可能な音響光学素子を用いてレーザ走査を行うことにより,各照射部分の信号のみを検出し,空間分解能の優れると期待できるシステムを提案する.また,同システムでカルシウム濃度計測ができるようにする事を目的とする.
1995-09-05

細胞膜における活動電位伝搬蛍光計測

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