新カット幅縦水晶振動子

概要

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本論文の目的はKTカットと命名される,新カット幅縦水晶振動子を提案し,その周波数特性,周波数温度特性および電気的諸特性を明らかにすることにある.まず,周波数方程式は幅x_0は厚みz_0より非常に大きく,かつ長さy_0より非常に小さいという条件で導出される.すなわち,1次元近似式で与えられる.次に,この式より,幅x_0に対する共振周波数との関係ならびに1次温度係数αが室温でα=0となるカット角θとの関係が理論的に導出される.すなわち,大略α=0となるカット角θはθ=24.5°で,このときの2次温度係数βはβ=-0.60X10^<-8>/℃^2が得られる.更に,この結果はθ=27°でα=0となる実験値β=-1.25X10^<-8>/℃^2と比較され,その絶対値は実験値の方が約2倍大きい値を示すことが示される.また,α,βは辺比R_<zx>=厚みz_0/幅x_0に依存し,R_<zx>に対してα,βは上に凸の曲線で示され,辺比R_<zx>によってもα,βは変化することが示される.最後に,周波数が10数〜数+MHzでの等価直列抵抗R_1とQ値が調査され,その結果,例えば,周波数f=16.3MHzでR_1=89.7Ω,Q=180,000と振動子として十分に満足する特性が得られることが示される.
社団法人電子情報通信学会の論文
1993-04-25